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美容室の工事見積は金額だけで比較してはいけない|相見積もりで確認すべきポイント

工事見積は金額だけでひかくしてはいけない

美容室・理容室の独立開業では、物件が決まり、設計が進んでいくと、いよいよ工事業者から見積を取る段階に入ります。

このとき、例えば3社から、

A社 1,000万円
B社 900万円
C社 750万円

という見積が出てきたら、どうでしょう。

「同じ美容室をつくるなら、750万円のC社が一番安い」

そう判断したくなるのは当然です。

しかし、工事見積の総額だけを比較して工事業者を決めるのは危険です。

美容室は一般的な物販店舗などと比べても、給排水、給湯、電気、空調、シャンプー設備など、営業に直結する設備工事が多い業種です。

見積金額が安くても、必要な設備工事が含まれていなければ、工事開始後に追加費用が発生する可能性があります。

この記事では、長年美容室・理容室の独立開業を支援してきた経験と、元店舗デザイナー・設計者としての飯島の視点から、美容室の工事見積を比較するときに何を見るべきなのかを解説します。

美容室の工事見積は「総額」だけでは比較できない

美容室開業では、工事費が数百万円から1,000万円を超えるケースもあります。

当然、できるだけ工事費を抑えたいと考えるでしょう。

そこで重要になるのが相見積もりです。

複数の工事業者から見積を取ること自体は重要ですし、飯島がプロデュースを通して美容室開業を支援する場合も、条件を揃えたうえで必ず複数社に見積を依頼します。

しかし問題は、見積を取った「その後」です。

例えば、

A社 1,000万円
B社 900万円
C社 750万円

だったとしても、

C社が250万円安いとは限りません。

なぜなら、3社共、同じ条件、同じ工事内容を見積もっているとは限らないからです。


 

安い見積に含まれていない可能性がある工事

美容室の工事見積では、表紙に書かれている見積金額だけでなく、必ず内訳を細かく確認する必要があります。

例えばA社には、

  • 空調設備工事

  • 照明器具

  • 電気容量の増設

  • 給排水設備工事

  • 給湯設備

  • シャンプー設備関連工事

  • 既存設備の撤去・交換

まで漏れなく含まれている。

 

一方、C社では複数箇所「別途工事」になっている。

これならC社の見積金額が安くなるのは当然です。

工事が始まってから、

「これは見積に入っていません」

「給湯設備は別途です」

「電気容量を増やすなら追加工事になります」

となれば、その都度費用が追加されます。

最初は750万円だった見積が、必要な工事を追加していった結果、900万円、1,000万円を超えることも考えられます。

つまり、

「最初の見積が一番安い会社」と「最終的に一番安く完成できる会社」は、必ずしも同じではないのです。


 

美容室では設備工事の不足が営業に影響する

ここは、美容室・理容室開業では特に重要です。

美容室は、店が完成して見た目がきれいなら営業できるわけではありません。

例えばシャンプー台を2台設置するとします。

必要なのは、シャンプー台そのものだけではありません。

給水。

排水。

給湯。

電気。

そして、お湯を安定して供給するための給湯能力。

これらを店舗全体の設備計画として考える必要があります。

さらに、セット面、ドライヤー、デジタルパーマ機器、照明、空調などを同時に使用することを考えれば、電気容量も重要です。

空調も同様です。

「エアコンが付いているから大丈夫」

ではありません。

既存設備の能力が、その美容室の広さ、室内そのものの容積、席数、スタッフ数、熱源などに対して適切なのかを確認する必要があります。

ここを開業時に安易に削ってしまうと、開業後、

「お湯が足りない」

「ブレーカーが落ちる」

「夏場に店内が冷えない」

といった、日々の営業そのものに影響する問題につながります。

美容室では、設備工事は単なる工事費ではなく、開業後の営業を成立させるためのインフラなのです。


 

正しい相見積もりには「同じ設計・同じ条件」が必要

相見積もりを正しく行うために重要なのが、各社の条件を揃えることです。

例えば20坪の美容室を開業するとします。

3社に、

「セット面4席、シャンプー台2台で、大体こんな雰囲気の美容室をつくりたい」

と伝え、それぞれ自由に設計と見積を出してもらったとします。

A社はデザイン性を重視。

B社は設備と機能を重視。

C社はとにかく工事費を安くすることを重視。

当然、金額は違います。

しかし、これでは正確な価格比較にはなりません。

3社それぞれ異なる条件の美容室として見積もっているからです。

 

正しく比較するなら、

同じ設計図面。

同じ仕上げ材料。

同じ設備仕様。

同じセット面数。

同じシャンプー台数。

同じ工事範囲。

同じ工程。

すべての条件を完全に揃えたうえで、各社に見積を依頼する必要があります。

そのうえで、回収した見積を細かく検証し、

必要な工事項目がすべて入っているか。

数量は適正か。

別途工事は何か。

既存設備を利用する前提に問題はないか。

各社で施工条件が違っていないか。

こうした部分まで確認して、初めて正確に金額を比較できます。

これが本来の相見積もりというものです。


 

「一番安い工事業者」を探すことが目的ではない

美容室開業では、もちろん工事費を抑えることは誰もが望むことでしょう。

しかし、必要以上に豪華な店をつくり、開業資金の大部分を店舗工事に使ってしまうことは絶対に避けるべきです。

なぜなら、美容室は完成した瞬間からお金を生み出すものではないからです。

開業後には、

家賃。

人件費。

材料費。

広告宣伝費。

水道光熱費。

借入金の返済。

その他さまざまな支払いが始まります。

 

したがって、売上が安定するまでの運転資金が絶対に必要なのです。

だからこそ、店舗工事に使う金額は慎重に判断するべきなのです。

ただし、

工事費を抑えることと、必要な設備まで削ることはまったく違います。

開業後でも簡単に追加できる家具や装飾なら、最初は抑えるという判断もできます。

しかし、給排水、給湯、電気容量、空調など、建物側に関係する基本設備は別です。

営業を始めてから改修すれば、営業を止めなければならない場合もあります。

工事費だけでなく、休業による売上損失まで発生する可能性があります。

だから美容室開業では、

「安くつくる」ことを主目的にするのではなく、「必要なところにはそれなりに金を使う」この判断がなにより重要です。


 

開業時の100万円より、開業後10年間で考える

開業計画進行中の美容師さんは、開業準備中、どうしても「オープンまでにいくら必要か」に意識が集中してしまいます。

 

例えば、設備仕様を落とすことで工事費を100万円削減できたとします。

その瞬間だけ見れば100万円の節約が成立しますが、開業後に設備能力が不足し、開業後まもなく、改修が必要になったらどうでしょう。

 

一度完成した店舗を一時的に営業を止め、部分的に壊し、再び工事をする。

その結果、もし200万円かかったとすれば、開業時の100万円の節約は、本当の意味での節約ではなかったということになります。

反対に、開業時には多少費用がかかっても、その後10年間、大きな改修をせずに営業を続けられたなら、結果として、こちらのほうが安かったということもあります。

飯島はこれまで多くの美容室・理容室の開業を支援してきましたが、実際に関わった歴代開業オーナーの中には、10年、20年と営業を続けている方も多く、折りに触れお話を聞く機会があります。

このように開業時に必要なものは揃え、後からでも対応できる箇所は開業後にバージョンアップするという進め方をしたことにより、以降、無駄な出費を被ることなく、長く店を続けられていると語ってくれています。

美容室の工事費は「開業の瞬間」に狙いを定めて判断するものではありません。

10年後まで健全に営業できる店なのか。

そこまで含めて考える必要があります。


 

美容室は完成させることがゴールではない

毎回飯島がしつこく言うように、美容室開業で一番大切なのは、グレードの高い店を完成させることではありません。

無事に開業し、その後も健全に長い期間にわたり経営を続けることです。

工事業者選びは、そのための準備の中のたったひとつに過ぎません。

 

コスパを追求するためにも、必ず相見積もりは取ったほうがいい。

しかし、決して

「どこの工事業者が一番安いのか?」

それだけで判断しないこと。

 

注力すべきは、

「その金額で、何をどこまでやってくれるのか?」

です。

そして、その内容が開業後の美容室経営にとって十分なのかまで考える必要があります。

 

ただ、見積書には工事の専門用語が並びます。

初めて美容室開業に挑む美容師さんが、複数社の見積を細部まで比較し、本当に必要な工事が入っているかを判断するのは土台無理なことなのです。

飯島の開業出店プロデュースでは、工事に関しては必ず相見積もり(競争見積り、または入札)を行います。その際、各社すべてが同じ条件で見積できるよう、見積条件を整理したうえで実施を監修します。

そして、提出された見積内容についても、元店舗デザイナー・設計者としての目線で、詳細な検証・査定を徹底しています。

これら、すべて工事業者側ではなく、開業者さま側の立場で工事計画を見る。

これこそbh飯島が、安全な開業を志す美容師さん達を、安全に開業に導くための重要な役割だと考えています。


 

美容室開業の工事見積を一度整理したい方へ

すでに工事見積を取っている、しかし、

「この金額は適正なのか?」

「業者によって金額が大きく違う」

「どこまでが見積に含まれているのか分からない」

「この設備内容で本当に営業できるのか不安」

という美容師さんが直面する様々な戸惑いがあるでしょう。

 

これら、一度工事業者を決めて契約してしまうと手遅れになってしまうかもしれません。

 

ご自身で納得できる道を得るためにも、事前に、bh飯島といっしょに開業計画全体から整理してみませんか。

無料相談・開業前の状況を整理する

関連stand.fm

今回のテーマは、stand.fm「TALK IT EASY」#71でもお話ししています。

#71【見積金額だけで業者を選ぶな】安い工事が安いとは限らない

youtubeでも視聴可能


 

関連note

店舗開業・独立開業全般については、noteでも今回のテーマを解説しています。

「見積金額だけで工事業者を選ぶな!安い工事見積が本当に安いとは限らない?」

店舗工事|見積金額だけで工事業者を選ぶな! 店舗工事|見積金額だけで工事業者を選ぶな!


 

著者について

飯島由敬(いいじま よしひろ)

店舗開業インストラクター/店舗開業プロデューサー。
元店舗デザイナーとして店舗設計に携わった経験を持ち、現在は美容室・理容室を中心に独立開業を支援。

ヘアサロン開業アカデミーを通じて、資金計画、物件選定、設計・工事、融資、開業後の運営まで、開業計画全体をサポートしています。

重視しているのは、店を完成させることではなく、「10年後も健全に経営できる店づくり」です。

著者:飯島由敬

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