【美容室開業】人件費を甘く見ると危険|一人サロンでも必要な資金計画
美容室の独立開業を考えるとき、多くの人が最初に気にするのは「開業するまでにいくら必要なのか?」ということです。
物件取得費はいくらか。
美容室の内装工事はいくらか。
シャンプー台やセット面などの設備にいくら必要なのか。
そして、融資はいくら受けられるのか。
もちろん、これらはすべて重要です。
ただ、美容室開業を長くサポートしてきた中で、もう一つ必ず考えてほしいことがあります。
それが、開業後に毎月出ていくお金です。
特に、これから人を雇う予定がある美容室では「人件費」を以前と同じ感覚で計算していると、開業後の経営計画に大きなズレが生じる可能性があります。
さらに、一人で美容室を開業する場合でも人件費は無関係ではありません。
なぜなら、オーナー自身の給料を考える必要があるからです。
美容室開業では「今の給与水準」だけで考えない
最低賃金や求人市場の給与水準が変化すれば、美容室がスタッフを採用するために必要な人件費も当然変わります。
たとえば開業計画を立てている段階で、
「スタイリストを一人雇いたい」
「アシスタントを採用したい」
と考えているとします。
そのとき、数年前の給与相場や、自分自身が勤務美容師だった頃の感覚で、
「これくらい払えば採用できるだろう」
と計算してしまうのは危険です。
実際には、給与だけでなく、勤務条件や福利厚生なども含めて採用条件を考える必要があります。
さらに店舗規模や雇用条件によっては、社会保険等の事業者負担も発生します。
つまり、美容室開業では、
「スタッフ一人を雇うのに、実際には毎月いくら必要なのか」
まで考えなければいけないということです。
スタッフを雇う予定が「今すぐ」でなくても考えておく
美容室開業では、
「最初は一人で始めて、軌道に乗ったらスタッフを入れたい」
という計画も非常に多いです。
この場合も、スタッフを雇うのは数年後だからと、人件費を開業計画から完全に外してしまうのはおすすめできません。
なぜなら、人を雇うようになったときに、
家賃
借入金返済
材料費
水道光熱費
広告・集客費
その他の固定費
に加えて、新たに人件費が発生するからです。
一人でギリギリ成立している店にスタッフ一人分の人件費を追加しても、経営が成立するとは限りません。
将来的にスタッフを増やしたいのであれば、その段階まで想定した店舗規模や家賃、借入額を開業時から考えておく必要があります。ここが重要なのです。
一人美容室でも「自分の給料」を必ず計算する
では、完全な一人美容室なら人件費は関係ないのか。
そんなことはありません。
一人サロンほど、むしろ慎重に考えてほしいのが、
オーナー自身の給料(※)です。
※個人事業主の場合、自分自身への給与は従業員給与と同じ会計処理ではありませんが、ここでは分かりやすく、生活費やオーナー自身に残すべき取り分を『自分の給料』と表現しています。
たとえば、勤務美容師として月30万円程度の給与を得ていた人が独立したとします。
自分の美容室を開業して売上も立っている。
ところが、その売上から、
家賃
材料費
水道光熱費
集客の為の広告費
借入金返済
その他の経費
を支払ったところ、自分の手元には毎月20万円しか残らない。
しかも勤務していた頃より休日は減り、店舗経営の責任はすべて自分自身です。
これでは、何のために独立したのか分からなくなってしまいます。
もちろん、開業直後から理想的な収入になるとは限りません。
経営が安定するまで、ある程度時間が必要なケースもあります。
しかし、
何年経っても勤務美容師時代より自分の収入が低いことを前提とした開業計画ではダメなんです。
美容室を独立開業するのであれば、最終的には勤務時代よりも大きな報酬を得られる店を目指すべきです。
売上だけでなく「いくら残るのか」を考える
美容室開業の相談では、
「月商○○万円を目指します」
という漠然とした基準の額をよく耳にします。
もちろん売上目標は必要なのですが、もっと重要なのは、
その売上から経費を支払ったあと、いくら残るのか?です。
売上が高くても、家賃が高い。借入返済が大きい。材料費が多い。そしてスタッフ人件費が大きい。
となれば、最終的に残る利益は少なくなります。
逆に、売上規模がそれほど大きくなくても、固定費が適正であれば健全な経営ができます。
美容室開業では「売上の大きな店」を目指すことよりも、
必要な利益がきちんと残る店をつくることの方が重要なんです。
美容室の毎月の支出は開業時にかなり決まってしまう
開業後に毎月必要になる費用の多くは、実は開業時点ですでにある程度決まります。
たとえば、
どの物件を借りるか
→ 毎月の家賃が決まる。
どのくらいの広さの美容室をつくるか
→ 光熱費や維持費にも影響する。
セット面やシャンプー台を何台設置するか
→ 将来のスタッフ数や店舗規模にも関係する。
いくら融資を受けるか
→ 毎月の返済額が決まる。
何人体制を想定するか
→ 将来的な人件費にも関係する。
つまり、
美容室がオープンしたあとに発生する経費の多くは、開業計画段階の判断次第なのです。
だから、
「オープンしてから考える」は確実に遅いということ。
開業時点ギリギリで成立する美容室は危険
これからの美容室経営では、人件費だけでなく、
材料価格
水道光熱費
各種サービス利用料
その他の運営コスト
などが時世に合わせて変動する可能性があります。
開業時点ですでに利益がギリギリの計画なら、何か一つコストが上がっただけでも経営を圧迫します。
スタッフの給与を上げたら利益がなくなる。
材料費が上がったら自分の給料を下げなければならない。
そんな状態では、長期間安定して経営することはできません。
開業時に考えるべきなのは、
「今なら経営できるかも」ではなく、数年後に「環境が変化しても経営を続けられるか」です。
美容室が完成することと、経営が成立することは別
美容室開業では、どうしても店舗デザインや内装工事に意識が向きがちです。
自分が思い描いていた美容室が完成すると、
「ついに夢が叶った」
という気持ちになるでしょう。
でも、開業支援を長年してきた飯島の立場から言えば、
美容室が完成したことと、その美容室の経営が成立することはまったく別です。
しかし、本当の経営はそこから始まります。
家賃や借入金を無理なく払い続け、スタッフには適正な給与を支払い、そのうえでオーナー自身にも十分な報酬を残せるか。
ここまで成立し続けて初めて、健全な美容室経営なんです。
目指すべきは「10年後も健全に経営できる美容室」
bh飯島は、2000年の会社設立以来、開業支援を通じて、
「10年後も健全に経営できる美容室をつくる」
という考え方を一貫して大切にしてきました。これまでbhが開業支援してきた理美容室では、長期にわたり健全に経営を続けている店舗が多く、20周年を超える店舗も複数あります。
先人達がそうであるように、美容室開業のゴールは、オープン日ではないんです。
10年後も、20年後も
この物件を選んで良かった。
この規模にして良かった。
この借入額で良かった。
独立して良かった。
そう思える店を立ち上げることです。
そのためには、店舗工事費だけではなく、
開業後、毎月いくら出ていくのか。
ここまで徹底して考えたうえで開業計画を立てる必要があります。
特に開業を機に、スタッフを雇う予定がある方は、
「この給与水準で本当に採用できるのか」
「給与が上がっても経営を維持できるのか」
あるいは、一人だけの美容室を考えている方であっても、
「自分自身に十分な給料を残せる店になっているか」
ぜひ、ここをしっかり突き詰めましょう。
美容室開業は、店をつくることが目的ではありません。
10年後も無理なく経営できる店を、開業前につくること。
それが、安全で確実な美容室開業につながります。
美容室開業の資金計画を一度整理したい方へ
美容室開業では、物件取得費や店舗工事費だけでなく、開業後に毎月かかる家賃、借入返済、人件費、材料費などを含めて資金計画を考える必要があります。
「この売上計画で、自分の給料まできちんと残せるのか?」
「スタッフを雇っても経営を維持できるのか?」
「この家賃、この借入額で進めて本当に大丈夫なのか?」
まだ計画が固まっていない段階でも構いません。
美容室・理容室の独立開業について、現在の状況を一度整理したい方は無料相談をご利用ください。
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同じテーマをnoteでは店舗開業全般向けに、Libraryでは美容室・理容室の独立開業向けに再編集しています。
2026年9月15日配信のPodcast(stand.fm)でも、飯島自身がこのテーマについてお話ししています。
YouTubeでも視聴できます
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