10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い

創業融資は、あなたがこれから事業を始めるにあたっての大切なスタート資金です。

しかし多くの美容師さんは「借金＝悪」と感じ、実際には借りられるはずの金額よりもずっと少ない額で申請してしまう傾向があります。

ですが、融資は単なる「借金」ではありません。

自分の資金力だけでは到底用意できない金額を、「レバレッジ（他者の力を借りる仕組み）」として使える絶好のチャンスなのです。

この考え方の転換が、開業後の事業を安定させる大きな鍵となります。

「なるべく借りないようにしよう」と思って、必要最小限の額で融資を申し込んだ結果、開業資金が不足してしまうケースは非常に多いです。

例えばこんなパターンが起こり得ます：

設備費が思った以上にかかった

内装や施工の見積もりが想定より高かった

開業後の運転資金が確保できなかった

これらが原因で、開業時点から資金繰りが苦しくなり、赤字スタートや無資金状態での運営を余儀なくされることもあります。

融資の申請は、通常開業計画の初期段階で行います。

しかしこの段階では、まだ見積もりが出ていなかったり、計画が曖昧な部分も多いものです。

実際のところ、開業に必要なコストは、以下のように時間をかけて判明していきます：

物件が決まってから内装費が明確になる

サロン機器の選定によって設備費が変動する

広告費や販促費が計画より膨らむ場合がある

つまり、「融資は最初」「費用は最後に明確になる」というタイミングのズレがあるのです。

ここで重要なのは、

一度借りたあとに「やっぱり足りないから追加で借りたい」というのが非常に難しいということ。

創業融資は「最初の一回きり」であることがほとんどで、後からの増額申請や再度の融資は、信用や審査の面でハードルが高くなります。

実は、融資額は少なすぎるより、多すぎる方がリスクが少ないこともあります。

余った資金が出た場合は、繰上げ返済することもできますし、開業後の運転資金や緊急時の備えに回すことも可能です。

資金に余裕がある状態でスタートすることで、

スタッフの採用や教育にしっかり投資できる

宣伝やプロモーションに戦略的に予算をかけられる

万が一のトラブルにも冷静に対応できる

といった強い経営の土台を築くことができます。

美容室開業においては、「なるべく借りない」よりも「適切に借りる」ことが成功のカギです。

創業融資を申し込む際は、事業計画をしっかりと立てたうえで、将来的な支出やリスクを想定した金額を申請するようにしましょう。

そして、借りたお金は全額使い切るのではなく、余剰資金を残して開業するのが、長期的に見てもっとも安定した運営につながります。

美容室開業における創業融資は、リスクではなくチャンス。

経営者としての視点を持ち、

**融資＝レバレッジ（テコの力）**

と捉えることで、より堅実で戦略的なスタートが可能になります。

「融資はなるべく少なく」と思っている方こそ、一度立ち止まり、

**本当に必要な資金とは何か？**

を見直してみてください。