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店舗の工事中にありがちな「大家さん問題」

そもそも店舗工事を行うに当たり、対象物件の大家さんから様々な指示や取り決めごとがあり、開業者はもちろん店舗工事業者もそれらの指示に絶対に従わざるを得ません。しかし、大家も人間です。店舗工事の真っ最中に突如、最初の指示とまるっきり異なることを言い出したりすることも。場合によってはその急遽変更となる要素は、多額の追加出費に見舞われる重大な出来事になりかねないのです。こうした数ある大家による工事中のトラブルの一部を紹介します。

大家さん問題って?

美容室開業における工事中の不測の出来事としてありがちなトラブル・大家さん問題についてお話いたします。美容室開業で不動産物件を借りて出店するには必ず店舗工事をすることでしょう。この店舗工事中に起こりうるのが「大家さん問題」なのです。誰でもテナントを借りてお店を運営していくわけですから、

大家さんとは仲良くしていきたい

と思うことでしょう。しかし、この大家さんというのは全てが良い人とは限らないのです。

開業後も何かと干渉してきたり・・・

大家側は入居者であるオーナーと仲良しになったつもりで、通常営業中でも勝手にお店に出入りしてきたり・・・

 

他にも、騒音、店外の客の話し声などがうるさい等、運営中にもかかわらず、開業者に直接苦情を言ってきたりすることも・・・

 

最初は感じが良かった大家さん、しかし入居後は想像に反し、実は・・・

“くせ者だった”

ということもあるのです。だとしても、開業出店した以上、安易に移転や引っ越しなどできるわけがありません。

大家さんとは会わなくても良いもの

さて、そもそも大家さんと親しくなる必要があるのでしょうか?

もちろん、大家さんから部屋を借りて運営をしていくわけですが、やっぱり仲良い方が良いのでしょうけれど、

仲良くなり過ぎず、一定の距離感を守りつつ、クールな関係性を保つ。

仮に、開業後、建物や設備に問題が生じ、それを大家さんに対し改善依頼するとしたら言いにくいでしょう?

たとえば、

店のすぐ横にゴミを出しっぱなしにしないで欲しい・・・

大家さんの自転車を店舗の前に置かないで欲しい・・・

大家さんがすぐ上の階に住んでいて、ドタドタと上階で歩き回る音がうるさい・・・等々

こういった、自分の店舗側からの要求も、一旦顔見知りになって仲良くなろうものなら、そうそう簡単に言えなくなってしまいます。

先々長い運営をしていく以上、いずれは非常に要求しにくい事も発生するかもしれません。

店舗工事中でもありがちなこと

また、店舗工事中のありがちな事例をご紹介します。

工事業者が工事着工前の段階で、見積を作成する為、エアコンの室外機置き場、湯沸し器の設置場所など・・・これらすべてが大家指示により積算されます。

しかし、設計も工事も指示通りの積算を経て工事に着手したにもかかわらず、工事も後半に差し掛かる頃、たまたま工事現場に来た大家さんが突然こんなことを言い出しました。

「湯沸し器は熱風が嫌だから、やっぱりこの場所ではなく、お店の裏側に移動させろよ!」

これ・・・はいわかりました、と簡単に済む話ではないのです。

この気まぐれな(あえて)変更による設置場所の移動は、配管の距離(長さ)が大幅に増え、非常に大掛かりな工事となってしまいます。また、状況によってはその建物の構造上その変更設置は不可能だったりすることもあるのです。ましてや、かなり工事が進んだ段階での話です。組み上げた工事箇所を取り壊し、新たに作る直すほどの大工事に至ることになります。この実例ですが、結果的に

数十万円レベルの予算アップとなってしまいました。

しかも、さらに問題となったのは、増額工事代金は大家さんは一切負担するつもりなどがなく、「俺は大家だよ?嫌なら契約解除するから出ていってよ!」の一点張り。理不尽な結果となり費用負担は開業者持ちとなりました。もちろん、この一件以降、開業オーナーさんと大家さんは不仲になりました。

このように、工事中における追加予算発生のというトラブルは開業者にとって、顔面蒼白となるほどの一大事に発展します。大家発言による不測の出来事もありうると捉えておくべきです。

画:飯島由敬

大家さんと会わずに済むために不動産屋があるということ

仮に大家さんと契約前から顔を合わせて仲良なったりすると、いずれ大家さんは、以後開業者さんに、あらゆることを直接言ってくる関係になりがちです。開業者さんは大家と仲良くなっておきたいという基準があるようですが、実際は、不動産屋のガイドは開業者と大家さんは一切顔を合わせないのがスタンダードなのです。

開業者と大家さんがお互い言い難いことも、不動産屋さんが間にいるからこそ橋渡しが成立する。

不動産屋は、開業者と大家の関係のバランスを取る代理人ということ。


 

著者:飯島由敬

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