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【美容室開業】ヘアサロンの床にコンクリート風モルタル床は向く?向かない?

非常に人気の高い床の仕上げとして「コンクリート打ちっぱなし風」すなわち「モルタル床」があります。美容師さん理容師さんからのリクエストとしても比較的多いものです。しかし、特にヘアサロンの床仕上げとして、このモルタル床は慎重に検討する必要があります。単純に雰囲気、演出性を重視しての判断だけでなく、実際長きにわたりその床の上で働き続ける自身の身体への影響にも配慮し、本当にモルタル床を自身のヘアサロンに導入すべきかどうかを、考えてみてはいかがでしょうか。モルタル床のメリットとデメリットについてアドバイスいたします。

コンクリート?モルタル?その違いとは

美容室、理容室に限らず、店舗デザイン設計の段階で

『コンクリート打ち放しの素地風の床』

にしたいというリクエストは多いもので、ある意味ずっと不動の人気と言っても良いほどの仕上げといえますね。このコンクリートのままの床、モルタル床とも言われます。

まず・・・コンクリートとモルタル???

これ、何が違うのか、

そもそも、この2つは同じように見えても異なるものなのです。

まず、「コンクリート」というのは、ビルや建物の構造を司るもの、すなわち「鉄筋コンクリート」といわれるように

非常に強固なもの。

一方モルタルは、一般住宅の駐車場とか、玄関周りの下地ならし、あるいは内装などで使用される材料のもの。

これら2つは、まず強度がまるで違うのです。

よく町で、生コン車が移動しているのを見たことがりますよね?

コンクリートは常に粘りっけを維持するため、ずっとグルグル回しながら動かし続けていなければならないのです。建物の骨組みを担うわけですから、簡単にボリっと折れたり、割れたりするようなヤワなものでは問題ですからね。

いわゆるコンクリート打ちっぱなし風、というのは、こうした建物の構造体をむき出しにした状態のことを言っているわけです。

常に根強い人気の床・コンクリート地肌風のモルタル床

まず、ほとんどの開業者は、コンクリート地肌の雰囲気を求め、店舗にはそれを模したモルタル床をリクエストしているといえるのです。

確かに、モルタル床、雰囲気は良いし、カッコいいですものね。私も結構好きな仕上げではあるんです。

モルタル床のカフェとか、カジュアルなレストランの床には結構、演出性が高くなりますね。

一般的に感じる印象として、都会的、アクティブ、斬新、洗練、カッコよい、といったイメージですね。

とにかくデザイン性の観点では、超人気の素材の一つであることは間違いありません。

したがって、もちろん、

美容室開業の店舗デザイン設計の際のリクエストにも

コンクリート打ちっぱなし風のモルタル床にしたいという希望があったりします。

さて、実際のところ、理美容室において、このコンクリート風、すなわちモルタル床にするというのはいかがなものなのでしょうか・・・
ヘアサロンの場合は、ちょっと注意すべきであり、見た目の部分より、実際の仕事面、作業面の視点を若干優先して判断して頂きたいのです。

モルタル床のデメリット・その1

ちょっと余談ですが、美容師さん理容師さんって、持病として腰を痛めている人は多いですよね・・・

この業種に就いている以上、時として忙しくなれば1日中、ずっと立ちっぱなしの仕事ですしね・・・

これが辛くてしょうがない、という人は、やっぱり・・・

モルタル床はあまりオススメできないのです。

モルタル(コンクリート)の床って、言うまでもなく、当然カッチカチに固い床・・・

とにかく腰への負担が大きいのです。

しかも、店の床をこれにしてしまった以上、年間のうち、ほとんどの時間をその硬い床の上で行動するわけです。

長時間どころか、ある意味、10年以上にわたり、その状況に身をおくことになるわけだから、ずっと腰を犠牲にしながら仕事をしてゆくようなものです。

また、腰への負担は硬さだけではありません。

例えばフローリングなどのような木の床に比べ、圧倒的に冷えが身体に伝わりやすいということ。

比較的に飲食店の床としては、雰囲気を若干優先しても良いかも知れませんが、理美容室に関しては施術をする店側の健康面的にちょっと・・・ということなのです。たしかに、お客様に与えるイメージは訴求力があるモルタル床ですが、

そこで働く側の自分とスタッフの「腰への負担」というデメリットを理解のうえ検討する必要がありますよね。

モルタル床のデメリット・その2

さらに、もう一つ、モルタル床のデメリットがあります。

前述したとおり「コンクリート打ちっぱなし」というのは非常に強固な建築の構造体

一方「モルタル」というのは、
それを模して再現したものにすぎないもの。

大げさに表現すれば「フェイク」あるいは、「なんちゃってコンクリート」

セメントを水で溶かして、左官職人が内外装の仕上げなどのように幾重にも塗り重ねながら平らにならしてゆく。

コンクリートとモルタルは質が異なり、似て非なるものなので、材料そのものの仕込み方が根底から異なります。

それゆえに、モルタル床というのは時間の経過とともにヒビ割れは宿命といえます。

モルタル床に宿命的に起こるヒビ割れ、これを「味」と捉える考え方もありますが、

特に理美容室床の場合は、慎重な判断が必要です。

ヒビ割れの隙間に毛が詰まる・・・
椅子の移動等で床を傷つける・・・
モルタルの粉塵が店を汚す・・・
掃除に苦労する・・・
カラー剤を垂らしたら染み込んでシミに・・・

モルタル床のリクエストには、こうした諸々のメリット・デメリットを知らないのが普通であり、

外見のイメージ重視で選ぶ理美容師さんが多かったものの、後日、1年未満で床仕上げを他のものに変更したいとの要望もまた少なくなかったのです。

こんなに利便性が悪いとは思わなかった・・・モルタル床になんかしなければ良かった・・・

という意見もあったわけですから、自分の店をデザイン設計する際は、コンクリート風のモルタル床にするぞ!とお考えの方、

ぜひとも、こうした耐久性、利便性、機能性という観点から、本当にそれが良いのか?

これを慎重に考えた上で検討しましょうね。

まとめ

  • モルタル床はコンクリート打ちっぱなしを模したもので強度が異なる
  • 雰囲気は抜群でも、理美容師の腰への負担が大きく仕事面で辛いという声が多し
  • モルタル床は左官工事による施工となるため強度は弱めでヒビ割れは宿命的に出るもの
  • ヒビに髪の毛が挟まる、モルタルの粉塵で掃除が大変などデメリットも少なからずある
  • 利便性、機能性から、美容室理容室での導入には慎重な検討が必要

著者:飯島由敬

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