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美容室店舗の内装費について

店舗工事費は内装費だけではない

美容室店舗を作るためにはもちろん内装費が必要となりますが、それ以外にも看板や外装周りの工事費も含まれます。

例えば道路に面している正面玄関の幅が5m以内のところもあれば、道路2面に面している店舗でありトータル15mにも及ぶこともあります。

誰でも想像すればわかることでしょうけれど、この外装工事費のかかり方は外部に面する部分の大きさによって倍増する可能性があるということです。

また、B1階の店舗や2階の店舗となれば、おのずと“化粧する”面が小さくなり、その費用は比較的安く抑えられることになります。

まず、単純に『内装費』という捉え方ではなく、内外装両面合わせて一つの店舗であるという実情を理解し慎重に吟味して物件選びをすべきです。

店舗工事費で最もやっかいなのが諸設備工事

内外装の費用以前に美容室店舗工事には様々な設備工事が必要となります。選ぶ物件がどんなに好条件であると思えたても、

その物件に備わっている電気容量が足りているか?
ガスが使えるか?
空調設備が付いているか?
水圧を司る給水設備、排水設備が十分なのか?

これら諸設備の過不足はどれも工事費用を大きく分ける重要な要素となります。

1.電気容量に関して

美容室という職種柄容量多く必要とします。選んだ物件自体に容量が著しく足りない場合は、新たに電気容量アップする工事をしなければなりません。選んだ物件によっては電気容量が容易に増やせない物件も少なくないのです。すると、そもそも美容室店舗を作ることが困難な物件ということもあるのです。

2.ガスに関して

昨今はオール電化でガス設備の利用禁止という物件も存在します。この場合、給湯設備もガスではなく電気でまかなわなければならないことになります。ガスの引き込みが許されていない物件だった場合、前述の電気容量でその分をさらに増やさなければならないのです。電気容量が増やせない、ガスも引き込めない、これでは美容室店舗と選ぶべきではないのです。

3.空調設備(エアコン)

物件によっては最初から用意されているものもあれば、自分で新たに設置しなければならない物件もあります。このエアコンの有無は裕に100万円単位の出費を左右する要素となります。またエアコンは物件の付帯物か?あるいは前入居者が残していった残置物か?これによっても、それぞれメリットとデメリットがあります。
付帯物なら故障時は大家さん側が無償で直してくれるでしょう。
一方残置物だった場合は、自身で修理の費用負担をしなければなりません。
また、残置物がとても古いものだった場合、開業1年程度で故障し、結局後々新しいものに入れ替えなければならないことにもなりかねません。エアコンは非常に大きな予算を左右する要素なのです。

4.給排水設備

これが美容室にとって最も悩ましい設備です。美容室でよく耳にするお悩み要素で「水圧が弱すぎる」という切実な声は少なくありません。これは対象となる物件区画に引き込まれている水道管の太さに関与します。水道管が細いことにより水圧が出ないのです。こうした水圧事情に関連してボイラーなどの給湯設備を高額なものにしなければならなくなります。

内装工事費とは空間演出としてかかる費用

内外装工事費用というのは、店舗空間の演出として使われる費用です。

いわば“飾り付け要素”です。

内装は床、壁、天井、造作家具などの工事費用であり、それらと別次元な対極にあるのが前述した諸設備工事費なのです。

店舗工事費としてあらかじめ十分に予算を確保していたとしても、その大半が設備工事費として取られてしまうと、目に見える“飾り付け要素”すなわち内外装のための費用がまるで足りないということになります。結果的に超ショボイ店になってしまうこともあるのです。

内装費を含む店舗工事費って果たしてどれぐらいかかるかの?

この疑問に対してですが、実は正確に判断することは極めて難しいと言えます。
開業者が「店舗工事ってどれぐらいかかるものでしょうか?」という呼びかけに対し、
店舗設計者、あるいは工事会社が発言する「だいたい500~600百万円もあればできますよ!」という返答は、実はなんの根拠もない判断基準、超適当な判断といえます。

まずは、自分がどんな店舗にしたいのか?どんな設備を用意すべきなのか?
自分が描いている詳しい情報を伝える前段階なのに、こうしたプロが発する返答には十分に注意が必要です。

何より開業者さんは物件の選びで、見た目はどんなに好立地、好条件と思えたとしても、

物件によってはとても莫大な費用が流出してしまう物件かもしれないという疑問を持ちながら慎重に判断するべきです。

店舗工事費に関する店舗デザイン設計者が持つ基準とは?

プロの店舗デザイン設計者や工事会社から、主に店舗面積(坪数)で大まかな概算として聞かされることが多いでしょう。
例えば、坪数×60万円とか、坪数×80万円だとか・・・
しかし、これらも至ってザックリとした予想で、まるで根拠がありません。

500万円でできると思います。という言葉を聞いて、設計や工事に着手したものの、仮に開業者の描くデザイン設計イメージが大理石をふんだんに使った内装と装飾物満載の伝統的な演出が希望であり、おまけに諸設備が著しく足りていなかったことにより、結果的に店舗工事総額が1500万円に達した。このような事例は本当によくあることです。

一旦着手してしまった以上、その額面を提示した店舗デザイン設計や工事会社を断り、別の会社で仕切り直したとしても費用のかかり方は大きくは変わらないものです。

すべての原因はやはり自身の物件選びの段階で運命が決まってしまうということです。

内装費という考え以前に、慎重な物件選びが最優先

結論として、前述した多方面からのチェック項目をバランスよく検証し、最終的に純粋に内装費=演出(飾り付け要素)にどれだけ予算を回せるかが決まります。
正確な店舗工事費とは、外装面の大きさを含む立地の特性と物件の設備事情により費用が大きく変動します。そしてプラスアルファの部分で内装演出が加わり店舗工事総額となります。

店舗工事費=内装費という考えはとても危険です。

店舗工事費 = 外装工事 + 諸設備工事(電気・ガス・水道・空調・照明) + そして内装費!

よく耳にする店舗の内装費はいくらかかるの?
これはちょっと誤解を招く危険な基準でもあるということです。

著者:飯島由敬

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