開業を果たし、経営者となった以上、今後は毎月定額の給与がお約束のように得られるという感覚は消え去り、
個人事業主の場合、毎年1月〜12月までの、[1年間の総売上額]ー[1年間の総経費]=これが[実際の報酬]となります。
この1年間分の実績を集計し、3月までに確定申告をするのです。
前述したように、特に開業の初年度は、日々定着した来店サイクルはまず作り出せていない状態のはずです。
一時的に高額が得られたとしても、常に不安定な状況です。
したがって、仮に3ヶ月間、毎月30万円の報酬があったとしても、次の3ヶ月が毎月20万円・・・
さらに先の3ヶ月が毎月10万円に落ち込んでしまったとしたら・・・
今まで定額の給与をもらいながら生活していた経営者1年生の開業者は、この数ヶ月おきに変動する入金の増減に確実に神経をやられてしまいがちです。何年も経営を経験している人なら「そんなのあたりまえじゃん」というような常識と捉えていることでも、最初の初年度、すなわち経営1年生にとっては、この変動感覚はパニックしか生まないと言っても過言ではありません。
経営が始まり、少なくとも個人事業主でいるうちは、
1年間の総売上÷12ヶ月が実際の手取り給料、すなわち1年後まで本当の給与が予測できないということ。
(※法人の場合は毎月の給与を定額設定する必要あり)
とにかく、開業初期から、思いのほか高額利益が出せたとしても、1年間はじっと我慢。浮かれて一気に贅沢したり、生活レベルを上げてしまうと、後で混乱することになりかねません。
開業時は長年貯めてきた自己資金+融資で調達したお金を、ほぼ全て使い果たしてのスタートとなるでしょう。
もちろん、開業時点で、初期の数ヶ月分の運転資金を確保した上で、実際の経営をスタートさせるという基準は絶対に必要ではありますが、開業総額内から辛うじて確保する運転資金とは決して十分な余裕ある額面とはいえません。
開業から初年度の1年間、これはお客様の来店リズムが定着している今の職場とは異なり、たくさんの新たな客と出会い、リピーターとなってもらえるように努力しながら、旧職場のような定期的な来店をしてくれるような優良客に育てる重要な期間でもあります。したがって、初年度はとにかく自分が得られる報酬の増減は想像以上に大きいのです。
初年度、どんなに高額利益を得た月があったとしても、1年間は今までの給与以上の生活レベルにせず、開業総額では心細かった運転資金を、報酬が多く得られた月は先々のために補充して、常に1年間の売上変動に耐えうる余剰金に回していく。そして報酬の上下が激しくとも、常に今までの生活レベルは一定レベルより落ちないよう、とにかく現状維持に徹する。この基準で、まずは初年度をなんとか乗り切りましょう。
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