10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い

多くの独立開業希望者が陥りやすいのが、「お店を持つこと」をゴールと捉えてしまう傾向です。

そのため、まず最初に出店候補の物件を探し、急いで賃貸契約を結んでしまうことからスタートしがちです。

しかし、これがパニックの始まりとなることが少なくありません。

無駄な家賃の流出: 物件契約を先行させると、店舗の完成までの期間も家賃が発生し続けます。この「無駄な家賃」を最小限に抑えようと焦りが生じます。

無謀な依頼: 焦りから、設計や工事を「超特急で進めてほしい！」という無謀な依頼をしてしまうことにつながります。

頭の中が「急いでお店を作ること」でいっぱいになり、冷静な判断ができなくなってしまうのです。

切羽詰まった状況に陥った開業者は、著しく平常心を欠いた状態で開業計画を進めていくことになります。

以前、店舗デザイナーであった飯島の経験からも、このような事例に触れることが多く、こうした開業者の大半は大きく心を揺さぶられた状態に陥っていました。

例えば、何日も徹夜して大量の図面を描き、何度も打ち合わせを重ねたにもかかわらず、「依頼者の融資が通らなかった」という理由で計画が中止になるケースは何度もありました。

このような場合、数ヶ月にわたる作業の報酬は１円も支払われず、デザイナー、設計者だけではなく、場合によっては既に関与した施工会社もすべて「タダ働き」になってしまう危険性を伴います。

しかし、このような問題の根本原因は、紛れもなく「開業者自身の知識不足と準備不足」にあるのです。

開業や出店のプロセスを一度も経験したことのない開業者は、その進め方や順番を知らなくて当然です。

しかし、誰もが一度走り出したら止まることなど考えず、パニック状態のまま無謀に走り続けてしまいます。

そしてその結果、以下のような悲惨な結末を迎えることがあるということです。

融資の失敗: 想定していた資金調達ができず、資金集めの段階による躓き。

自己資金の枯渇: 不動産契約などの支払いで、自己資金をほとんど使い果たしてしまう。

路頭に迷う開業者: 計画が頓挫後、不動産業者から先に払ったお金を返してもらえず、文字通り路頭に迷う開業者もいる。

施工会社の倒産: すでに店舗工事を始めていた場合、開業者が資金を支払えなければ、施工会社は多大な損失を被り、最悪の場合倒産に至ることもあります。実際、飯島自身も、かつて工事業者を倒産させてしまった苦い経験もあり、身近でいくつも似たような実例を見てきた。

人生の転落・失踪: 開業者自身も支払うお金がなくなり、さらに大きな請求をされ、立ち行かなくなる。これがきっかけとなり人生の転落という末路。あるいは最終的に行方をくらまして失踪したケースも存在した。

これらの悲惨なトラブルの「張本人」は、紛れもなく開業者自身にあります。

すなわち開業者は、非常に危険なきっかけを作り出す人物にもなり得るということです。

こう考えると、開業は、あなた一人の夢で終わるものではありません。

多くの人々が関わり、その生活に影響を与える可能性、いや、危険性もあるのです。

成功への鍵は、決して焦らず、十分な知識と周到な準備をもって臨むことです。

被害者にも、加害者にもならないためにも、物件契約に飛びつく前に、まずは資金計画、事業計画、そして何よりも「開業プロセス」についてしっかりと学ぶことがとても重要なのです。

冷静な判断力と計画性こそが、あなたと、あなたを応援する全ての人々を守る盾となるということです。

【美容室開業の落とし穴〜開業は周囲の人を不幸にする危険性も持つ】※AI要約の音声