10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い

美容室の物件契約後、工事や設備設置が進んでから「電気容量が足りない」と発覚するケースは珍しくありません。

特に初めて開業する方は、内装や立地に目が向きがちで、電気の容量まで意識が回らないことが多いのが現実です。

このトラブルは、店舗オープン後の営業に大きな支障をきたす要因になりかねません。

美容室では、想像以上に多くの電気を消費します。

ドライヤー：1,200〜1,500W × 複数台

シャンプー台用の給湯設備（一般的にはガス）

エアコンや照明機器

これらが同時に稼働する時間帯を想定して、余裕を持った電気容量を確保しておく必要があります。

必要な電力量は、小規模サロンでも10〜15kVA以上が推奨されます。

容量不足が発覚すると、以下のような問題が発生します：

営業中にブレーカーが頻繁に落ちる

電気機器の誤作動や性能低下

増設工事によりオープンのスケジュールが遅延

想定外の追加費用が発生

これらはすべて、事前確認不足による「回避できたトラブル」です。

物件を契約する前に、以下のポイントを必ずチェックしてください：

現在の契約電力（容量）は何kVAか？

単相2線、単相3線、三相のどれか？

契約変更や容量増設の可否

配電盤や幹線設備の状況

また、不動産オーナーや管理会社に事前に確認し、設計士・施工業者との連携も早期に行いましょう。

電気容量は後から増設可能ですが、以下のような制約があります：

引き込み線や分電盤の変更工事が必要

管理会社やオーナーの許可が必須

工事完了までに1〜2週間以上かかる場合も

東京電力など電力会社との手続きが必要

工事費用が数十万円にのぼることも

したがって、事前に必要容量を見積もり、最初から適切な契約をしておくのが理想です。

以下のチェックリストを使って、物件選び時に確認漏れを防ぎましょう：

現在の契約容量（kVA）を確認したか？

電力契約の種別を確認したか？

機器の合計消費電力を計算したか？

設計士や施工業者に電気設備について相談したか？

電力会社への申請が必要かどうか確認したか？

美容室開業において「電気容量の確認」は、開業準備の中でも最も重要な項目のひとつです。

設備設置後に「足りなかった」と気づいてしまうと、大きな損失や開業遅延につながる可能性があります。

“物件選びの段階”から、

「美容室の電気使用量」「契約電力」「電力設備の状態」

を慎重に確認し、専門家の力を借りながら進めていきましょう。

このように、電気容量は開業成功に直結する基礎部分です。

見落としがちなポイントだからこそ、正しく理解し、早めに対応しておくことが店舗運営をスムーズに進める鍵となります。