小規模の美容室の給湯器でボイラーは絶対に必要なのか?
多くの美容師さんは美容室を開業する際、店舗に給湯設備として設置する「ボイラー」は必須条件だと捉えているようです。
しかしボイラーなしでも開業できたケースは少なくありません。物件や美容室の規模などによっては、ボイラーを購入せずに美容室を開業することも可能です。
ボイラーは、なぜ必要だと考えられてきたのか?
代わりになるものは?
ボイラーなしで開業できる美容室の条件とは
に関して考えていきましょう。
ボイラーとは、どんなものか?
ボイラーをわかりやすく説明するなら、冷蔵庫ぐらいのサイズの巨大な電気ポットです。
その巨大なポットに水が常に給水されて沸かされ、保温状態で貯水しているものです。
電力で温めるとは限らず、ガスを使うタイプも普及しています。
ボイラーがなぜ重宝されるのか?
ボイラーの内部には水が常に給水されて沸かされ、保温状態で貯水します。
施術でお湯が減るたびに再び水が足され、再び沸かされ、再び保温状態となります。
このように一定量のお湯が貯められているがゆえに、シャンプー施術でお湯を使っても一定の水圧で供給されます。
よく「水圧が落ちることがない」と言われるのは、以上の理由からです。
また、温まったお湯が常にある状態なので、捨て水が少なく(高額な機種によっては捨て水がでないものもあります)、すぐにお湯を出すことができます。
ボイラーを導入すると、美容師が特に懸念する水圧問題を回避可能となります。安心しながら施術に打ち込めるわけです。
ボイラーは大きな設備で高額
ボイラーはかなり大きな設備で設置もそう簡単にはできません。
値段も高額で、モノにもよっては定価で100万円前後しまうものもあります。
この金額は、開業予算が限られる小規模美容室店舗の場合においては、頭を悩ませるポイントです。
ボイラーの代わりになる給湯器はないのか?
小規模の美容室の開業は、限られた予算で数多くの機材を準備する必要があり、ボイラーにそこまで費用を掛けたくない。
そのようなご意見を開業さんから相談を受けます。
ボイラーを購入しないで美容室を開業する方法はないのでしょうか?
実は、シャンプー台数が2台程度までの小規模の美容室なら、必ずしもボイラーが必須とは限りません。
ボイラーの代わりになる業務用の湯沸器とは?
ボイラーを搭載しない代わりに、瞬間湯沸器を給湯器として利用する方法があります。
瞬間湯沸器(以降、湯沸器)とは一般的に、水が水管部を通る際に加熱されてお湯になります。
湯沸器というと、家庭のキッチンの流しに取り付けられている、小さな湯沸器が浮かんでくるでしょう。
しかしあれは、家庭用の湯沸器で、美容室では“小規模な飲食店の厨房”などでも使われる業務用の湯沸器を使います。
では、業務用湯沸器の特徴を見てみましょう。
業務用湯沸器の特徴
湯沸器は、一定量のお湯が貯められてるボイラーとは異なり、水を出しながらお湯にします。そのため、水圧がダイレクトに影響します。
物件の区画内に引きこまれている給水管が細くて、水圧が安定しない状況では、一定量の安定したお湯を出し続けることができません。
また、お湯を出す際に、多少なりも水が温まるまでの捨て水とタイムラグが発生します。
ボイラーと業務用湯沸器のメリット&デメリット
ボイラーと業務用湯沸器のメリットとデメリットをまとめてみます。
☆ボイラーの主なメリット
- 水圧が低い物件でも、安定した水圧が確保される
- お湯が出るまでのタイムラグが少ない
- 捨て水が少ない(高額な機種によってはまったくないものもある)
☆ボイラーの主なデメリット
- 設備が高額
- 屋外または屋内にある程度のスペースが必要
- 配管がややこしいため配管の設備費用などもかかる
☆業務用湯沸器の主なメリット
- ボイラーに比べ安価(推定60~70万円の節約につながる)
- 小型のため狭い物件でも、問題なく設置できる
- 設置が簡単で時間もかからない
- 故障した場合でも、新品と交換するのが簡単
☆業務用湯沸器の主なデメリット
- 水圧が弱いと安定したお湯が出ない
- お湯が出るまでにタイムラグが発生する
- 捨て水が発生する
ボイラー設備を導入せずに開業できる美容室の条件
ボイラーを導入せずに、業務用湯沸器で足りる美容室の条件は、
その1:シャンプー台が2台程度までの小規模美容室の場合
同時に使う水の量が多いとどうしても水圧が安定しません。
シャンプー台が2台程度までの小規模美容室であることが必要です。
その2:給水管が太く、十分な水圧が確保されていること
区画内に引き込まれている給水管をチェックして、水圧がどの程度かが重要です。
この給水管が細めの場合、業務用湯沸器ではお湯をスムーズに使えなくなる恐れがあります。
一般的には20mm以上の給水管の太さは必要で、店舗によっては13mmなどの細い給水管があり、それだと厳しい場合が多いです。
まとめ
ボイラーは美容室を開くときに、小規模の美容室であれば必需品とは限らず、選ぶ物件の給水管の太さがボイラーか湯沸器の選択肢を決めるということです。
選ぶ物件次第で、70万円の出費が増えるか節約できるかの明暗があるということです。
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