1.独立開業の「動機」について考えてみる
独立開業の最大の核となるのは「動機」を明確にすることです。
自分のヘアサロンを開業したいと考える理美容師さんの多くは、現在勤務している店では様々な不満を抱えているものです。
「店側の運営方針から、詰込み過多の施術対応で、客にしてあげたい高品質な施術がしてあげられない。(もっと丁寧にじっくり仕上げてあげたいのに・・・)」
「店側で使用する薬剤薬液が安価で粗悪ゆえに、自分の大切な客が肌トラブルをおこしてしまったり、最悪の場合、信頼関係は良好だったにもかかわらず、それが原因で失客してしまう。
(安全な薬剤をつかってあげたいのに・・・)」
「中高年のアンチエージングにもっと力を注ぎたいのに、若年層の客ばかり対応させられる。(若返りの手助けをもっとしてあげたいのに・・・)」
「新技術の講習などに精力的に参加し技量をもっと磨きたい。しかし、店側のオーナーがその許可をしてくれない。(最新の技術やエッセンスをもっと勉強したいのに・・・)」
などなど・・・
これら現状の不満を解消することが、現在の職場ではどうしてもできない。
だからこそ、自分が本当にやりたいことを実行するために開業する!
まさしくこれが、すべての始まりとなる「動機」なのです。
事業計画を構築していく上で、最初にこうした現状の不満を明確にすることにより、将来、本当にやりたいことが非常に明確になり、何故開業すべきなのかが、必ずハッキリするはずなのです。
2.「誰に、何を提供するか?」を明確にしてみる
「動機」すなわち現在の不具合要素を明確にできたなら、次は、それを解決するための具体的手段を考えましょう。
- できるだけ施術人数は少なめにする → 常に丁寧な施術をする。客とのコミニケーションをより深める。
- 専門性を強くしたい → アンチエージング、若返りのプロとして多くの中高年女性に貢献する。
- 安全性の高い薬液を使う → 肌トラブルや失客を完全に無くし客への安心感を高める。
- 新技術を常に導入する → 自分も従業員も常に新しい技術や新機器の情報収集をし続ける。
前述したような、あらゆる現職場における不満要素の裏返しがヒントになるわけです。
不満解消の具体的手段を考え、「誰に、何を提供するか?」を明確にし、それを使命にする。
まさしく、自分にしかできないこと、それが社会的役割=コンセプトに繋がるわけです。
3.「誰に、何を提供するか?」が見えたら、店舗イメージ(空間コンセプト)が見えてくる
目指す社会的役割が明確になれば、おのずと、自分自身の真の理想客も具体的に見えてきます。
“それを”提供する為に、最もベストなロケーションや、店舗イメージ(空間コンセプト)が見えてくるはずなのです。
しかし、多くの開業者がしているように、目指す社会的役割が明確でない段階で、空間イメージを先行で定めてしまうと不具合が生じかねないのです。
例えばですが、店舗デザイン設計の段階でよく「癒やしの空間を作りたい!」という声は比較的多いリクエストで、とてもシンプルな疑問なのですが、
なぜ癒やしを感じさせる必要があるのか? → 時間を忘れてとにかくゆっくり過ごしてほしいから。
このように、単純に自分が好きな世界観を開業のコンセプトと考えるのではなく、
「理想客が最も喜びそうな店構えを追求すること」が重要です。
目指す店の空間イメージ(空間コンセプト)とは、
理想客が好きな空間でもあり、同時に自分も好きな空間であるべきです。
店構えや店舗デザインの方向性をコンセプトと捉えて進行させてしまうと、もしかしたら、これは自分が最も来てほしい客が好きな空間ではないかもしれません。
あくまでも第一優先は、理想客(コアターゲット)の為であり、自分の基準は二の次ではあること。
ただし、自分にとっても、それは大好きな路線の、ベスト3程度の世界観ならOK!という感じでしょう。
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