10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い

開業後すぐにお客様が殺到し、順調に売上が上がるケースも確かに存在します。しかし、全体の7割以上のサロンが開業初年度に苦戦しているというデータもあります。

特に開業から半年は、新規顧客の獲得に注力する時期。以前の職場で感じていた“忙しさ”とはまったく異なり、来店数が少ないことで不安を感じることもあるでしょう。

開業当初から売上が好調なケースには、実はその後の経営に影を落とすリスクが潜んでいます。以下に、よくある2つのパターンをご紹介します。

◎パターン1：立地に恵まれたがゆえの“ブランディング崩壊”

周辺に競合店が少ない地域に出店したことで、幅広い年齢層のお客様が殺到。ファミリーサロンのような立ち位置になってしまった…というケースがあります。

本来は「ハイセンスな中高年女性向けの高級サロン」を目指していたのに、誰でも気軽に来られる雰囲気になってしまったことで、理想のターゲット層が来なくなるというジレンマに陥ります。

✅ポイント：開業時のビジョンをぶらさない顧客対応・ブランディングが重要

◎パターン2：スタッフの突然退職による売上急落

順調な滑り出しを見せ、スタッフを雇用して営業していたサロンでも、「思っていた働き方と違う」「忙しすぎて限界」と、スタッフが突然辞めてしまうことがあります。

この場合、人手不足から施術枠が減り、一気に売上が40％以上下がるという事態も珍しくありません。

✅ポイント：開業初期の人材育成・労働環境の整備は非常に重要

開業直後から多くのお客様が来店すると、うれしさのあまり施術を詰め込みがちです。しかし、以下のような弊害が起きやすくなります。

施術のクオリティが落ちる

お客様対応が雑になる

スタッフの負担が増し、離職につながる

売上アップと引き換えに、サービスの質とサロンの評判を落とす可能性があることを忘れてはいけません。

美容室の開業初年度は、競馬で例えるなら「スタートダッシュに成功しても最後にバテてしまう馬」のようなもの。開業当初の好調さが、長期的成功を保証するわけではありません。

理想のターゲット層、価格帯、施術内容、接客スタイル…それらをブレずに貫きながら、柔軟に軌道修正できる冷静さが求められます。

✅開業1年目の心得

・好調でも調子に乗らず、計画通りの運営を意識

・理想の顧客像に合わせたブランディングを維持

・スタッフのケア・育成も経営の一部と考える

美容室を開業することはゴールではなく、スタートにすぎません。最初から売上が伸びないのは当たり前。仮に好調なスタートを切っても、油断は禁物です。

「自分が本当にやりたい美容室」を見失わず、慎重に、丁寧に、慣らし運転を意識した運営を心がけましょう。

とにかく、せっかくお店を持てたのに、「美容室開業 売上伸びない！」という声は過去にも少なくありませんでした。

ある意味、すべての開業者共通で「美容室経営 初年度の悩み」と言えるかもしれません。また、「美容室 開業後の失敗例」として非常に多く耳にすることでもあります。

それは、開業初年度のまだ慣らし運転中だと言うのに、焦りゆえの、安易な軌道修正を試行錯誤してしまう、開業者の心のブレが原因となることがほとんどです。

なにより、開業前から明確に目指した自分の店の在り方、すなわち「美容室 ブランディング」に沿ってしっかりその路線に乗っかるまでは、少なからず時間がかかるものです。何事も、手応えを感じるのは、一拍遅れで訪れるものです。

そんな法則性も「美容師 独立後の注意点」として把握しておきましょう。