【美容室開業】コンセプトの正しい捉え方、考え方
美容室理容室の独立開業、出店において非常に重要な要素は『コンセプト』です。しかし、多くの開業者さんは、このコンセプトをやや間違えた解釈をしているものです。単純にこれから作るお店の雰囲気やスタイル、世界観のことをコンセプトと捉えている人は多いですね。たしかにこれもコンセプトとして表現されることもありますが、本来はもっと突き詰めていくと、この「店舗のスタイルを表すコンセプト」は、樹木でたとえるなら非常に小さな枝の一つでしかありません。大きな幹の部分となる真のコンセプトは、これから先の開業計画の指針となる非常に重要なものです。『コンセプト』漠然とした表現の言葉ではありますが、独立開業における、より詳しく、正しい認識をしましょう。
多くの開業者はコンセプトの本質を理解していない?
開業者が開業計画の相談事に
「私の作りたいお店のコンセプトは~」
と聞かされる内容にはこういったニュアンスで伝えてくる人は多いものです。
木に囲まれた雰囲気がコンセプトです。
癒やしがコンセプトです。
アンティークがコンセプトです。
都会らしさがコンセプトです。
とにかく「今風で!」とういうのがコンセプトなんです。
このように、非常に曖昧な店舗のイメージ要素を聞かされます。
しかし、これらは、
お店が目指す“店のあり方”
を表現したものではありませんね。
あくまでもお店の雰囲気を構成するたった一つの小さな枝的要素でしかありません。
一般的に「コンセプト」という表現が、あまりにも漠然としているというか、汎用性があるがために、どうしても、開業者は、なんとなく、このようにお店のイメージの部分を「コンセプト」という表現しがちなのです。
しかし、これは正しくは「空間イメージ」の事です。
この空間イメージのことを店のコンセプトと表現してしまっているのです。
本当の意味での『コンセプト』とは?
開業におけるコンセプトとしてしっかり考えるのであれば、
店側がお客様にどんな役に立てるのか?
何をしてあげられるのか?
自分(店)が何を提供できるのか?
究極にいえば、他のサロンに無いけど、私の店にはある!
あるいは他の理美容師にはできないけれど、自分にならできる!
更に言うと、自分にしかできないこと!
自分が客に対しての“お役立ち”すなわち
社会的役割、社会的使命、社会的貢献=コンセプト
これがコンセプトの考え方なのです。
究極のコンセプトは、「客が本当に求めている要望を叶えてあげる!」この立場に立つことなのです。
自分が持つ様々な技量、パーソナリティーを最大の武器にして、“それを”求めているお客様に、“それを”提供することこそ店の理念となるわけです。
コンセプトを導き出す鍵は「開業の動機」にあり!
1.独立開業の「動機」について考えてみる
独立開業の最大の核となるのは「動機」を明確にすることです。
自分のヘアサロンを開業したいと考える理美容師さんの多くは、現在勤務している店では様々な不満を抱えているものです。
「店側の運営方針から、詰込み過多の施術対応で、客にしてあげたい高品質な施術がしてあげられない。(もっと丁寧にじっくり仕上げてあげたいのに・・・)」
「店側で使用する薬剤薬液が安価で粗悪ゆえに、自分の大切な客が肌トラブルをおこしてしまったり、最悪の場合、信頼関係は良好だったにもかかわらず、それが原因で失客してしまう。
(安全な薬剤をつかってあげたいのに・・・)」
「中高年のアンチエージングにもっと力を注ぎたいのに、若年層の客ばかり対応させられる。(若返りの手助けをもっとしてあげたいのに・・・)」
「新技術の講習などに精力的に参加し技量をもっと磨きたい。しかし、店側のオーナーがその許可をしてくれない。(最新の技術やエッセンスをもっと勉強したいのに・・・)」
などなど・・・
これら現状の不満を解消することが、現在の職場ではどうしてもできない。
だからこそ、自分が本当にやりたいことを実行するために開業する!
まさしくこれが、すべての始まりとなる「動機」なのです。
事業計画を構築していく上で、最初にこうした現状の不満を明確にすることにより、将来、本当にやりたいことが非常に明確になり、何故開業すべきなのかが、必ずハッキリするはずなのです。
2.「誰に、何を提供するか?」を明確にしてみる
「動機」すなわち現在の不具合要素を明確にできたなら、次は、それを解決するための具体的手段を考えましょう。
- できるだけ施術人数は少なめにする → 常に丁寧な施術をする。客とのコミニケーションをより深める。
- 専門性を強くしたい → アンチエージング、若返りのプロとして多くの中高年女性に貢献する。
- 安全性の高い薬液を使う → 肌トラブルや失客を完全に無くし客への安心感を高める。
- 新技術を常に導入する → 自分も従業員も常に新しい技術や新機器の情報収集をし続ける。
前述したような、あらゆる現職場における不満要素の裏返しがヒントになるわけです。
不満解消の具体的手段を考え、「誰に、何を提供するか?」を明確にし、それを使命にする。
まさしく、自分にしかできないこと、それが社会的役割=コンセプトに繋がるわけです。
3.「誰に、何を提供するか?」が見えたら、店舗イメージ(空間コンセプト)が見えてくる
目指す社会的役割が明確になれば、おのずと、自分自身の真の理想客も具体的に見えてきます。
“それを”提供する為に、最もベストなロケーションや、店舗イメージ(空間コンセプト)が見えてくるはずなのです。
しかし、多くの開業者がしているように、目指す社会的役割が明確でない段階で、空間イメージを先行で定めてしまうと不具合が生じかねないのです。
例えばですが、店舗デザイン設計の段階でよく「癒やしの空間を作りたい!」という声は比較的多いリクエストで、とてもシンプルな疑問なのですが、
なぜ癒やしを感じさせる必要があるのか? → 時間を忘れてとにかくゆっくり過ごしてほしいから。
このように、単純に自分が好きな世界観を開業のコンセプトと考えるのではなく、
「理想客が最も喜びそうな店構えを追求すること」が重要です。
目指す店の空間イメージ(空間コンセプト)とは、
理想客が好きな空間でもあり、同時に自分も好きな空間であるべきです。
店構えや店舗デザインの方向性をコンセプトと捉えて進行させてしまうと、もしかしたら、これは自分が最も来てほしい客が好きな空間ではないかもしれません。
あくまでも第一優先は、理想客(コアターゲット)の為であり、自分の基準は二の次ではあること。
ただし、自分にとっても、それは大好きな路線の、ベスト3程度の世界観ならOK!という感じでしょう。
美容室開業のコンセプト・まとめ
- コンセプトとは、空間のイメージではなく、理想客の為にしてあげられる社会的役割。
- 社会的役割を明確にする手段は、現状の不満を解消する方法から考える。
- 真の開業コンセプト(社会的役割)は「誰に?何を?提供する店」
- 理想客が最も利便性が良い地域、多く行き来している地域が出店地であるべき。
- 店舗空間イメージは、社会的役割を果たす為の舞台演出の一つである。
- 店は単に好きな路線を追求するのではなく、理想客と自分の共通志向の路線にする。
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