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従業員スタッフにライバル視が消せない美容師特有の性分

スタッフに対し寛大な基準を持ちにくい職人魂が邪魔をする

開業者さんは美容師として常に技術向上に心血を注ぎ沢山の経験を経てプロのスタイリストに成長してきた人たちです。やがて独立開業して自分の店を立ち上げていくことを目指します。

開業して経営者になる以上、スタッフを雇用して自分のお店を盛り上げていくという確固たる目標もあるでしょう。

しかし、
スタッフの向上に対してなかなか合格点をあげられないという、

経営面においてのマイナス面も併せ持っているものです。
スタッフに対し、一般のお客から見れば、それなりの技量を持ち得たとしても

奴はまだまだ・・・修行が足りない。

という目線で見てしまいがちなのです。

スタッフの技術向上が脅威と感じてしまう性

技術系の職種ゆえ、これは決して悪いことではありませんが、特に独立開業後は、
後輩スタッフのポテンシャルや魅力を削いでしまう立場になりかねません。
自分の技量だけを頼りに生きてきた美容師としての生い立ちがそうさせてしまうともいえます。
特に自分と共に従業員時代に後輩として目をかけてきたスタッフを雇用したような場合、どうしても後輩が自分を超えてしまうことに対する恐怖が潜在的にあったりするのです。

 

仮に自分よりも後輩スタッフの方が売上をあげたり、自分より客からの人気を得たりすると

負けていられない。奴より私のほうが技量が上なのに・・・

このような基準が経営というフィールドにおいて邪魔をしたりすることもあるのです。

あくまでも自分の店の協力者であるという基準が必要

スタッフに加えた人材はライバルではないのです。

自分とスタッフ共通の目的は、一緒にこの店を盛り上げて共に多くの客を満足させようという協力者ほかなりません。

 

開業オーナーになった以上、主役は後輩に譲って、

一人でも多く、スタッフのファンを呼び寄せる仕掛け人に徹する

この視点で運営していった方が、結果的に信頼も深まり、運営もうまく進んでいくことが多いのです。

 

生涯技術者で自分がナンバーワンのスタイリストとして生きていくという経営スタイルももちろんあるでしょう。しかしこの気質が強いゆえに今ひとつ伸び悩む店もまた多いということです。

 

開業したら自分の経験値でスタッフを測るのではなく、平均点以上の技量を感じたのならどんどん実務の機会を作ってあげて、さらなる成長を見守るという姿勢で運営していくというやり方も大いにありなのです。

 

極論かも知れませんが、

現場は後世に譲り、自分は経営者としてスタッフの活躍の場を作ることに徹する。

すなわち、スタイリストを退く覚悟を決めるという生き方もあるということです。

とはいえ、技術者育ちの美容師さんにとって、それは非常に覚悟のいる決断ですし簡単ではないでしょう。

 

しかし、開業時から精力的にスタッフを雇用して着実に人員を増やし、いつしか自分は大事なお客さまだけ今まで通り対応するが殆どの施術業務は自分が機会を与えたスタッフ達に任せ、

店の為にひたすら頑張ってもらう。
こういう環境が作りあげたオーナーへの客側の評価は想像以上に高いものなのです。
スタッフより自分の方がすべてが上でありたい葛藤は技術者ゆえの性だと思いますが、

独立開業したら技術者をなるべく早く退き、

経営者として生まれ変わるという発想も重要なの課題なのです。

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著者:飯島由敬

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