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【美容室開業・理容室開業】開業から1年間は決して生活レベルを上げない!

開業して初年度から報酬が格段に上がったぞ!と喜ぶ開業者を何人も見てきました。しかし、その1ヶ月後にはたいへん落ち込んで相談してくるような事例も沢山ありました。まさに開業初年度は今まで働いていた職場から一定の額面でもらっていた給与を大きく上回るほどに高額の報酬が得られる月もあったり、ほとんど報酬が得られない月もあったり、上下があまりにも激しいのが開業初年度に集中するのです。経営者になったら毎月サイクルより、3ヶ月おき、半年おき、年間で、という今までより中期的、長期的な視点で入出金の管理をする感覚を掴まなければなりません。したがって開業初年度は、まず報酬の高低に関わらず、今までの生活レベル現状維持に徹することが教訓です。

開業直後からのどんなに売上が順調でも1年間は生活のレベルは上げないようにする

中には、開業直後から非常に順調な売上を上げる出店事例ももちろんあります。しかし美容室開業後、実際経営というフィールドに踏み出したばかりの開業者さんにとって、運営初期はなかなか売上が伸びず、大変混乱するという事例のほうが圧倒的に多いのです。

最初から順調な店、最初のうちはなかなか苦しい店、これらどちらも、それぞれ注意すべきなのです。

開業直前まで従業員として長年頑張ってきた理美容師さんですが、夢の独立開業を果たせば晴れて個人事業主という経営者に生まれ変わります。ある意味、経営者としての環境に突然環境が変化するわけです。

経営者となった以上、今後は、当然過去より報酬を格段に上げられるようにならなければ、独立開業の意味はありません。

開業直後から順調な運営の場合の注意点

前述したように、数ある開業事例の中、なかなか最初は上手く行かないお店の方が圧倒的に多いものです。

しかし、開業初期段階から非常に恵まれた状況を得る店もあり、集客も売上も絶好調!というような場合は注意点もあります。

開業初期から自分の報酬アップに伴い、思わず浮かれてしまい、生活レベルを一気に上げてしまうことが注意なのです。

まず、従業員時代の頃に歩合による変動はあれど、ほぼ毎月一定額でもらっていたお給料。その時のお金の感覚と、経営者になった後では、お金の感覚が突然切り替わります。

仮に今まで給与が25万円だったとして、開業直後、1〜2ヶ月の時点で集計したら、なんと5万円の取り分が増え、30万円に上がっただけで、人によっては嬉しくて浮かれてしまう人もいるわけです。

25万円で長いスパン生計を立ててきた感覚から、ひと月に5万円報酬が増えた時、一瞬浮かれてしまうのもわからなくはありませんよね。

しかし、これは今後ずっと一定のリズムで続くようなものではなく、特に開業直後では、ほんと、いっとき得られた瞬間的なものかも知れないのです。決して生活水準が上がったぞ、と捉えてはいけません

いままでの給与より高額な報酬を得ても、その差額は「今後の運転資金」にする!

仮に、過去の給与との差額5万円多く取れたとしても、これは自身の報酬が増えたとは考えず、その5万円は

今後の余剰金、先々の運転資金と考えるべきなのです。

お店の経営が始まれば、今後毎月同額の売上があがることは、まずありません。時期や季節によっては売上が上がったり下がったりがあたりまえになります。月間の売上から、経費を払って、残った額が、個人事業主の場合は報酬となります。

この差し引き額が、ある月は30万円得られたとしても、次月は20万を下回るかもしれません。逆に50万、60万、時には100万円を超えてしまうラッキーな月もあるかもしれません。どうであれ・・・

毎月定額で30万円得られるという保証はどこにもないのです。

個人事業主として開業後は『1年間の集計』により実質の報酬が後で決まる

開業を果たし、経営者となった以上、今後は毎月定額の給与がお約束のように得られるという感覚は消え去り、

個人事業主の場合、毎年1月〜12月までの、[1年間の総売上額]ー[1年間の総経費]=これが[実際の報酬]となります。

この1年間分の実績を集計し、3月までに確定申告をするのです。

前述したように、特に開業の初年度は、日々定着した来店サイクルはまず作り出せていない状態のはずです。

一時的に高額が得られたとしても、常に不安定な状況です。

したがって、仮に3ヶ月間、毎月30万円の報酬があったとしても、次の3ヶ月が毎月20万円・・・

さらに先の3ヶ月が毎月10万円に落ち込んでしまったとしたら・・・

今まで定額の給与をもらいながら生活していた経営者1年生の開業者は、この数ヶ月おきに変動する入金の増減に確実に神経をやられてしまいがちです。何年も経営を経験している人なら「そんなのあたりまえじゃん」というような常識と捉えていることでも、最初の初年度、すなわち経営1年生にとっては、この変動感覚はパニックしか生まないと言っても過言ではありません。

経営が始まり、少なくとも個人事業主でいるうちは、

1年間の総売上÷12ヶ月が実際の手取り給料、すなわち1年後まで本当の給与が予測できないということ。

(※法人の場合は毎月の給与を定額設定する必要あり)

とにかく、開業初期から、思いのほか高額利益が出せたとしても、1年間はじっと我慢。浮かれて一気に贅沢したり、生活レベルを上げてしまうと、後で混乱することになりかねません。

開業時は長年貯めてきた自己資金+融資で調達したお金を、ほぼ全て使い果たしてのスタートとなるでしょう。

もちろん、開業時点で、初期の数ヶ月分の運転資金を確保した上で、実際の経営をスタートさせるという基準は絶対に必要ではありますが、開業総額内から辛うじて確保する運転資金とは決して十分な余裕ある額面とはいえません。

開業から初年度の1年間、これはお客様の来店リズムが定着している今の職場とは異なり、たくさんの新たな客と出会い、リピーターとなってもらえるように努力しながら、旧職場のような定期的な来店をしてくれるような優良客に育てる重要な期間でもあります。したがって、初年度はとにかく自分が得られる報酬の増減は想像以上に大きいのです。

 

初年度、どんなに高額利益を得た月があったとしても、1年間は今までの給与以上の生活レベルにせず、開業総額では心細かった運転資金を、報酬が多く得られた月は先々のために補充して、常に1年間の売上変動に耐えうる余剰金に回していく。そして報酬の上下が激しくとも、常に今までの生活レベルは一定レベルより落ちないよう、とにかく現状維持に徹する。この基準で、まずは初年度をなんとか乗り切りましょう。

1年間経過して経営のリズムを得たら2年目以降はようやく生活レベルアップも良し!

とにかく、安全を重視した考え方のもと、報酬が多い時も少ない時も、自分自身のテンションは一定を保てるように、開業以前の給与時代と同じ生活レベルを維持すること。そして報酬が多く残せたときは差額はストックしておき、仮に次月の報酬が下回ったら、前月の余剰金を割り当てる。そして、報酬が少ない月があってもめげないこと。多く取れた月があっても浮かれないこと。

3ヶ月時点で集計、6ヶ月時点で集計・・・9ヶ月・・・1年

こうして数ヶ月おきに常に集計してバランスを把握する。そして1年間の集計をした時、「おお!そこそこの報酬が取れたわ」と、本当の実成績がみえてくるもの。これが経営というものです。

そして、1年間運営経験と実際の集計をしてみて、本当に満足行く報酬が得られていたら、その時こそ収穫の時です。

本当の生活水準アップは2年目からと考えましょう。

まとめ

開業したばかりの初年度は、とにかく毎月手元に残る報酬額は著しく変動します。ほとんどが旧職場の給与より増えたか、減ったかで開業者の心は非常に揺らされます。一般的には初年度は、なかなか報酬はアップしないのが常なのですが、中には走り出しから、突風が吹くかのごとく初年度を通してとにかく好成績をあげる店もありますが、これは決して一般的なものではなくほんの一部のラッキーな事例と考えておきましょう。

1年間の経営者としての過ごし方、お金の感覚に慣れるまでの期間が開業の初年度となります。報酬を多く取れた月があっても、旧職場の給与との差額分はボーナスとは考えず、次月のストックに回す、という固く考えた1年間を送ってください。そしてこれらのストックが1年後に、そこそこ貯まっているようなら、そのときこそ2年目に向けて、生活レベルアップを検討するも良し、新たな美容機器や商材を導入するも良し、従業員増員を視野に入れるも良し・・・本当の報酬アップというのは、急がず、ちょっと後に訪れるものだということを覚えておきましょう。

著者:飯島由敬

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