markka開業までの軌跡
オーナー網代英哲さん34歳※開業当時
- 店舗住所
- 東京都葛飾区亀有3-37-30
- サイトURL
- http://www.markka-hair.com/
- オープン
- 2013年7月3日
- 店舗面積
- 店内12坪
2013年3月5日(火)飯島、藤井同行のもと、物件の適性チェックに行きました。
元々bhの販促グラフィックデザイン担当の辻井泰子の古くからの友人であった網代英哲さん、ご自身の開業計画よりずっと前の段階から長きに渡り知っておりました。網代さんは実はbh設立当初から行っていたセミナーメニューは「ヘアサロン開業レクチャー」のみであったのだが、そのレクチャーの短縮版である「ヘアサロン開業セミナー」を開始した時期があった。その短縮版レクチャーを最初に受講してくれた方でもあった。
またさらにそれから数年後に開始した「2年後の開業の為のセミナー」も網代さんが初めての受講者でした。この2年後セミナーに関しては網代さんの美容師視点からの沢山の疑問点を事前に聞かせていただき、当時網代さんの抱えていた疑問をすべて解消する構成で作られたセミナー内容であり、過去何人の方々も受講されたが「ほぼすべての疑問が解けた」という言葉をいただけるほどのセミナーとして完成させた経緯があるのだ。
それほどまでにbhへのご協力をたくさん頂いた開業オーナー網代英哲さんが、セミナー受講当初から数年後には必ずbhさんに自分の開業計画は委ねたい!と公言していた通り、bhのプロデュースを一切の迷いなく依頼してくれました。
物件は、東京都葛飾の亀有。そう「こち亀」の舞台でおなじみの下町情緒が残る街である。
網代さんとは、セミナー受講後、レクチャー、事業計画診断と着実な段階を追って共に計画を練ってきた。一番最初の段階での候補地は、隣駅の金町であった。次いで、亀有、綾瀬などが候補地としてあがっていた。
しかし、たまたま飯島も出身が墨田区という下町ゆえに、これら候補地には若干詳しかった。この3駅の微妙な特性の違いによる運営の可能性にもシュミレーションしやすかったのだ。ひと駅とはいえ、金町、亀有、綾瀬はそれぞれ大きく商圏が異なり、網代さんの目指すコンセプト(社会的役割)を突き詰めるほど、最も適した物件は亀有がベストだという方向で固まっていた。
とはいえ、亀有限定で物件を探してみたものの、ピンポイントだけに、候補物件を探し当てるまでは苦労した。
後に網代さんがインタビューでも語っているが、彼にとってはこの物件特定までが最も大変だったと振り返っているほどだ。
実は、この日の現場チェックでは確信には至らなかった。
網代さんが決断に至らない要素は一つだけで面積が12坪ということで小さいスペースに自分の描く計画を実現する為の要素が入りきるのかということだった。
そこで藤井に大至急ラフ図面を起こしてもらい、それらを検証し、もし網羅できるようなら、ここで!
という流れになった。
2013年3月20日(水)コンセプト構築
前回5日に物件をチェックしてから10日間が経過した。この日を迎える前に、事前に藤井が先日の現場の図面を起こし網代さんの希望する要素を入れられるかの検証をした。正直なところ余裕で入れられたとは言い難いが、ウエイティングがやや小さめになってしまうものの希望要素は網羅できるであろうということで、網代さんご夫婦はこの物件を自らの出店地と定めることを決意した。
早速プロデュースがスタートとなり、コンセプトの確認から始まった。お二人の趣味嗜好などあらゆる角度からヒアリングを行いマインドマップに落としこんでいく作業である。この流れのまま店名は「markka」に決定した。“マルをを加える”という役割も込めた店名である。
この日、打合せスタートと入れ替わり、同時期で進行中の開業計画・鶴見メンズオンリーサロンのオーナーBRUSHの原口さんが打合せに来社していた。原口さんはちょうど開業1ヶ月前の段階だった。原口さんと網代さんの入れ替わりのタイミングで撮った写真です。
2013年3月26日(火)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ1回目
先週、無事に店名まで決定している為、早速愛知の辻井は複数のグラフィック販促アイテムのデザイン提案をしていた。さすが、網代さんとは長い付き合いの友人関係、網代さんの目指している方向性をキャッチする感度は非常に高かった。
店舗デザインの方もすでに検証用の図面を一旦起こしているだけあって、藤井は通用より空間の特性などの把握がすでにできている様子だった。
2013年4月2日(火)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ2回目
毎回必ずコンセプトの確認から入る。何度か打合せを進めていくうちに、開業オーナー自身が方向性の微妙な違いに気づいたり、少なからず混乱を起こしてしまうこともあるのだ。この段階で方向を間違えると、後で取り返しがつかなくなるもの。そんな今までの経験から、初期の段階では毎回コンセプトの確認作業からスタートするのだ。ちなみに、網代さんはこの段階で、コアターゲット像をわずかだが変更した。通常、デザイナーというのは、やっぱり変更というものを嫌うものだが、bhの場合は、こういった変更も非常に建設的で良いことと捉えているので、むしろ藤井、辻井の方から、「本当にそれで大丈夫?ちょっと方向違ってきてませんか?」という投げかけをしているシーンも珍しくない。
2013年4月10日(水)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ3回目
網代さんがジャケットを羽織っているのは、この日融資機関の面接が行われたからである。毎週決められた曜日しか休めない美容師さんにとって、開業への打合せはとても大変なのだ。午前中にはこうした融資の面接のような予定を組み、その後bhに移動して引き続き打合せ・・・そして明日は普通に現勤務先に出勤する。開業までは非常にタイトなスケジュールをこなしていかなければならない。
2013年4月17日(水)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ4回目
定期的な辻井の上京。毎回スカイプ越しでの打合せだが、こうして上京した時は、微妙なカラーリングや直接会わないと詰め切れない部分の打合せを行うのだ。
2013年4月23日(火)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ5回目
2013年4月30日(火)設計及び販促グラフィックデザイン打合せ6回目
2013年5月8日(水)設計承認及び販促グラフィックデザイン打合せ7回目
毎週続けてきた打合せは至って順調。なにより網代さんご夫婦自身が目指す方向性を明確に持っているため、悩んだり、ループしたりなどが起こらない。とにかく安定感のある開業計画である。
そんなmarkka計画もこの日が設計承認とした。ここから競争見積り(入札)へと駒を進めることになる。
2013年5月12日(日)競争見積(入札)開催
日曜に藤井が複数業者を現場に集め、現場説明会を行った。今回もエントリーした工事業者は3社でした。
2013年5月14日(火)入札の見積が提出されるまでの期間、網代さんをはじめ、チームは若干だけど一息つける時間をえられる。そのタイミングで網代さんご夫婦がbhチームを自宅に夕食の招待してくれました。通常bhのプロデュースではこのような事は無い。
開業までの期間で先にこうした食事会や飲みを行ってしまうと非常に良くないのだ。いわゆる変な慣れ合いが生まれてしまい、なにかとトラブルになることも多い。しかし、網代さんに関してだけは特別としたのだ。なにより辻井とはbh以前に長い付き合いの交流があるわけだし、網代さんの人格から判断して、決して慣れ合いにはならないはずだという一同の判断もあって、このような会に参加させていただくことにしました。
これ、とても楽しい一夜でした!
2013年5月22日(水)減額調整(寒い打合せ)
ご自宅の一夜から1週間後には、魔の寒い打合せが行われた。が、意外と網代さん、サバサバと決断!不要な箇所はどんどん諦め、こだわりのところは妥協せず!まるで減額調整を楽しんでいるかのようにも見えました。決断力が素早く、気持ちが良い網代さんでした。
2013年5月23日(木)工事契約・署名捺印
本来は、bhのオフィスにて正式な工事契約で署名捺印するのですが、スケジュールの都合により、網代さんのご自宅に工事業者が訪問し契約を交わした。この写真は網代さんから提供してもらいました。
2013年5月31日(金)減額調整が終わった直後からオーナーさんがやるべき仕事は加速するのだ。なぜなら減額調整が終了するまでは正確な予算配分が決定できない。それによっては買付け品、飾り付けの物品も予算配分が変わる恐れがあるのだ。だから工事の実行予算の決定を待たないと、買物にも走れないわけだ。
ということで、一気に買物をしていくわけであるが、そこで購入する物品にPCが含まれる事が多い。そのPCがを調達したところで、飯島のPCレッスンが行われる。
とても頭が良く、あらゆることを颯爽とこなす網代さんだが、やっぱりPCに関しては素人であった。PCのセットアップから、ブログを始めとするSNS戦略、エクセルの使い方、写真加工、様々なレッスンを真剣に受講しておりました。
2013年6月7日(金)現場も工事が始まりましたね。まずは店内の間仕切りの下地となるLGSと呼ばれる軽量鉄骨が積まれております。初期の現場というのはなんとも雑然としたものです。
2013年6月10日(月)その3日後、再び現場視察である。現場視察は網代さんご夫婦のみで見に来ることはないようにアドバイスしている。必ず藤井が現場入りする際に、一緒に視察することにしている。前回積まれていたLGSもこの3日間で壁の仕切りがわかるようになっていた。
2013年6月17日(月)さらに1週間で、現場は一気に様変わりした。やっぱり壁がボードで塞がれ、部屋割りが出来るころからワクワク指数を上げていくものだ。奥様の尚子さんがこだわっていた6マスの窓もしっかり形どられておりますね。
ちなみに、この2日後には引渡しが予定されている。どのオーナーもこの頃、あらゆる不安がよぎるものだ。「果たして2日後に完成するの?」という疑問だ。
心配は無用。しっかり間に合います。
ここが、プロの常識は素人の非常識、また逆もしかりなのだ。
まぁ、網代さんの場合は、そのような心の揺れは無かったようだが、結構多い事例なのだ。
「絶対に間に合わないに違いない!」というオーナーさんの苛立ち、テンパリ、疑心暗鬼・・・
これも実は順調な開業のプロセスを邪魔するオーナーさん自身の心模様の落とし穴なのだ。
こんなところに関しての心のケアもbhの役割の一つなのである。
オーナーは飯島が発する何の根拠も無い言葉
「全然問題無いです。これが普通です。もしも間に合わない様なことがあったら飯島が業者を責めますから、大丈夫、安心していて良いですよ」
「なんだかわからないけど、飯島さんがそう言うから、とりあえず平常心でいられた」と何人ものオーナーさんたちから“その後の声”として聞いてきた気がします。
2013年6月19日(水)そうして迎えた工事引渡しです。ほらね?きちんと出来上がっているでしょうが(笑)
引渡しと言っても、工事が終了しただけのこと。このタイミングで一気に薬剤が届いたり、道具類が届いたり、組み立て家具が届いたり・・・
一般的に開業オーナーさんが想定している以上にこの引渡しという日は大変なのだ。見てのとおり、ダンボールのゴミも大量に発生する。
これらを想定していないだけでオーナーさんというのはパニックしてしまうもの。こういった大量のごみ処理も、あらかじめ工事業者に頼んでおくことも、ちょっとしたパニック指数軽減の部分だ。
「こうようなダンボール等のごみ処理までは予算で見ておりませんでしたから!」こんな事言う工事業者と、その昔よく喧嘩したものでした。でもこれもね、先に一言話しておくだけで、みんな気持よく終われるのだ。すべてはコミニュケーション次第ってことです。
こうしたすべての“想定内”を事前に理解しておくだけでも開業オーナーの心は平常心を保てるもの。
毎回、引渡し終了時にこうして飲みの席を囲んでいるけれど、この余裕というか、ゆとりをキープしていたからこそ実現している会なのですよ。
だから、この平穏な食事シーンにはとても意味があるのですよ。これぐらいの余裕を持てるようなスケジューリングが命です!甘く見ないでほしいものです。
2013年6月29日(土)完成写真撮影会&打上パーティー!網代さんご夫婦以上に、友人辻井泰子がこの店の完成を楽しみにしておりました。また、いつもより格段に緊張する仕事だったと語っています。
本当にこのmarkka計画はほのぼのと、すごく良い開業プロセスでした!辻井のいつも以上の緊張感、網代さんを満足させたい!という想いの強さもあってか、凄く素晴らしいものだったと思います。
ちなみに、網代さんが減額調整で、最後まで妥協せず残しきったのがバックルームに設置した懸垂用のバー!ここで身体を鍛えるのが目的であった。これだけは!と妥協しなかったバーは意外と高額だったのだ。というのは天井内の躯体部分にガッチリと固定していおり、天井や壁に一切干渉しないような神経を使う製作方法を施しているからである。
その自慢のぶら下がり健康器でデモンストレーション中の網代さんが写真の様子だ。
開業後、チラッと聞いた噂によると・・・たまに洗濯物が干されているとか(笑)
こうして2008年7月にはじめてお会いして以来丸5年後の7月に網代英哲さんご夫婦の開業をお手伝い出来ました。網代さんに限らず、bhはこのように5年後し、3年後し、1年後しというように、それぞれのプロセスのスパンが存在します。
どうであれ、最初のセミナーでの出会い以来、ずっとbhと共に開業することを心に決めてくれていった開業オーナーさんの多さには本当に感無量である。
もちろん、出会って数ヶ月で一気に信頼を深め開業していくオーナーさんもいるのだが、やっぱり網代さんの様に、5年も経過した上での開業サポートには感慨深い。
飯島だけでなく、藤井、辻井もそれは同じ想いがあるものです。
心より、長く、健全な運営を心より応援しております。
網代英哲さん、尚ちゃん、開業おめでとうございます。
bh 飯島由敬