10年後の健全経営を見据えた美容室の独立開業のお手伝い ヘアサロン開業アカデミー

狭山市美容室warawaのオーナー福山裕太郎さんとの毎月恒例セッションも4回目です。

bh飯島のプロデュース後、開業1年後までの限定となる短期顧問コンサルティングで、開業したての開業者は、当然のことながら初心者経営者です。開業直後の1年間の様々な不安や、経営における迷走を避けるため、毎月共に売上と行動目標を掲げていきます。

毎回、前月の結果を聞き取り、次月の目標を再び仕切り直す。特に初年度の開業者は、そのハンドリングが不慣れというより、初経験となるので、直面することが戸惑いの連続となります。

経営の手腕と言うより、半分以上が精神的な部分を支える比重が多いものです。

そんな不安定な1年間を共にし、やがて店が軌道に乗ったところで2年目以降、いよいよ独り立ちするという目的でお手伝いしているのが、この開業後1年間の顧問コンサルです。

今回で4回目のセッションですが、開業当初から、売上面、来客数は申し分ない成果を出していることは、以前のコラムでもお知らせしていますね。

比較的、心の状態も安定しているとはいえ、常に微妙な不安や「こんなときどうすべき？」というプチ戸惑いは、ちょいちょいあると福山さんは語ります。

特に、先月のコラムでもお知らせした通り、大好きなお爺様の突然の他界で深い悲しみに陥り、心が乱れたりと、やっぱり開業初年度は色々あるものです。

とはいえ、順調な経営の日々であることは間違いなく、総じて1年前にはまだ従業員として働いていた時には想像すらできなかった幸せを手に入れている実感があるそうです。

報酬面はすでに1年前の倍以上となり、休日も増やすことが出来た。なにより、他人の方針に従うことなく、すべて自分のやりたいことを忠実に実行できる喜びは替えがたい幸福感だと毎回語ってくれます。

さて、そんな順調さ故に、つい見落としがちなポイントに焦点を当てて毎回、飯島はより良くなる改善ポイントを指摘していきます。

何度も言うように、来客数も売上も申し分ない環境を体感しながらすでに5ヶ月経つわけですが、良い意味でも悪い意味でも、その状況に身も心も慣れ始めるものです。

毎回、実際の数字を聞き取りながら共に検証していく時間を設けていますが、すでに5ヶ月間のデータを分析する限り、福山さんが計画段階から目指した総売上、来客数そして自身が取る報酬、これらすべてが予定通りどころか、確実に上回っています。

ところが、唯一クリアしていない箇所が「平均客単価」でした。

計画当初は、やや高めの客単価を目標にし、以前勤務していた美容室よりも、やや高級め、やや格式を上げるように構成してきた計画です。

もちろん、以前の店の頃より、客単価は上げることには少なからず成功しましたが、飯島と共に掲げた目標客単価より、若干低いのです。

多くの場合、順調な経営の渦中に身を置くと、どうしてもこうした細部の目標ポイントを見落としがちになります。毎回、当事者である開業者の、つい目が行き届いていない部分にスポットを当てて、今のうちに経営の感覚として身につけてもらうようガイドしているのです。

さて、客単価に話を戻しますが、経営開始から既に5ヶ月ですが、もしもこのまま福山さんが気づかずに、1年、2年と経営を進めていくと、やがて、この目標とした、もう少し高めの客単価は、もしかしたらもう取れなくなってしまう可能性もはらんでいます。

どうしても、美容師さんの性として、より売上を上げるために取る措置は、単価を上げることより、対応客数を増やすことに主眼を置きがちです。

今はまだ、若き福山さんにとって、メチャクチャ余裕で体力的にも一切問題ないことかもしれませんが、経営者としての感覚で計れば、ここは今のうちに自ら課しておくべきポイントなのです。

共に掲げた平均客単価の額面は、この場では公表しませんが、開業前の計画段階で掲げた額より、1,000〜1,500円/客数ほど、低めに推移しています。

ただ、開業初年度というのは、当然新規客との出会いも多めなので、初回は割引をしたり、客自身も始めての来店なら「カットだけで様子見する」という傾向が強く、客単価も低めになりがちです。

とはいえ、本来なら「もう少し客単価を上げたい」という部分に、こだわり要素が福山さんは、ちょっと弱めになっているとお見受けしました。

そこで、今回は、「客単価を上げる」そのための、様々なアイディアを、いくつもレクチャーしました。

とかく、美容師さん特有の気質かもしれませんが、前述したように「客単価を上げる」＝「無理なこと」と捉えがちです。だからこそ、売上アップさせる方法は、とにかく客数を増やすこと一途・・・

しかし、開業したてとはいえ、すでに福山さんのことを信頼し、新しい店warawaになっても変わらず、長年通い続けてくれている常連客の数も大量なのです。それこそ数百人単位でいるわけです。

どうしても、この信者層とも言えるような既存客に、プラスで、数百円負担してもらうような視点に目が行かないものなんです。

もちろん、毎回オーダーしてくれる施術料金を上げることは困難なことです。しかし、仮にプラス1,000円を今までより多く払うという感覚は、信者層の客なら、開業者である福山さんが想像するよりハードルが高くないものなんです。

問題は、この感覚を頼りに、福山さんがいかに新しいアイディアを巡らせるかです。

そのためにも、新たな効能が得られるような、よりハイクオリティーなメニューづくりであったり、あらたな商材の発掘など、最終的には「単価は上がるけど、価値以上の効果が得られる」といった、新メニューや新商材の提案というわけです。

また、単価が下がりがちな原因の中には、こんな側面も関与します。

どうしても常連客が多いために、老若男女、だれでもOKという経営形態をしてしまうという落とし穴です。

まぁ、これは誰からも愛される福山さんの人柄も関与することなのですが、特に今の時期、どんな人でも快く受け入れすぎる経営方針をとってしまうと、計画で掲げたような、やや高めの格式、やや高単価の路線、絞り込んだターゲットへの貢献など・・・

すなわち、コンセプトがブレてしまうことになりかねません。

事実、2月から6月にかけて、徐々に上がってきた平均客単価ですが、本来はもう少し上を目標にしたわけですから、売上も順調で、心の揺れも少ない今だからこそ、先を見据えて足元をチェックする感覚が重要だというアドバイスをさせていただきました。

また、いままで、ずっと一人きりでの運営スタイルで慣らし運転をしてきた福山さんですが、いよいよ6月から、短期間のパート扱いとはいえ、アシスタントが加わり、いよいよグループ体制の経営がスタートしています。

おそらく、いままで一人でもやっていけるのでは？という体感を抱きがちな数ヶ月だったはずですが、ここから先は、スタッフとの連携をしながらの経営スタイルを実感していく段階に入ります。

この判断が、間違いなくさらなる売上アップを実現させるはずです。

一番最初に相談を受けたとき、福山さんは「一人だけでやっていく」とさえ言っていたのですが、長い間、飯島からのアドバイスを受け取り続けてきたことにより、今やスタッフを取ることへの抵抗感はほぼ無くなっています。言い換えれば、スタッフ雇用を完全に前提とした経営者の感覚に書き換わっていると言えるのです。

いずれにせよ、開業からまだ5ヶ月です、1周年までまだ7ヶ月あります。はたして、福山さんは経営者としてどれだけの成長を遂げていくのか、とっても楽しみでなりません。

歴代開業者さんたち同様に、開業1年間の成長指数はハンパないんです。これを横で見れるのもコンサルの醍醐味と言えます。

また来月、予定は8/8日に次回のセッションをします。