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美容室WARAWA(ワラワ)開業計画・打合せ-6回目〜競争見積(入札)の重要性その2

美容室warawa(ワラワ)開業計画。打合せ6回目のレポートです。今回の打ち合わせで店舗のデザイン設計はひとまず終了し、競争見積へ。グラフィックデザインの打ち合わせは引き続き年末まで行われる予定。

本年5月末より「事前プロデュース」から共に開業計画を立ててきた某美容師さんの店名warawa(わらわ)の出店計画は、8月よりそのまま「フルプロデュース」に駒を進め、飯島の完全監修下で計画が進んでいます。今回は店舗デザイン設計と販促グラフィックデザインの打ち合わせが、いよいよ6回目。今回で店舗デザイン設計は、ひとまず打ち合わせ終了となり、実際の工事業者複数社の競争見積(入札)の段階に進みます。

 

次回の打ち合わせからは、店舗デザイン設計担当の藤井真哉は参加せずに、グラフィックデザイン担当の辻井泰子のみの打ち合わせになる予定です。

 

6回におよんで進めてきたかなり細かい店舗設計の打ち合わせにより、藤井は、本日以降、非常に詳細な設計図書(図面集のこと)を描き上げて、工事業者各社へ手渡され、複数の工事業者が全社まるっきり同じ条件(提出期日、質疑応答など)になるよう、出店対象の現場にすべての業者を一同に集め、同じ図面で、同じ説明のもと、各社から投げかけられる質疑に関しても、他の業者が同じ情報を得られるように、非常に公平な条件でレースが行われる予定。この入札は来週には行われる予定です。

 

さて、この入札にあたり、本来ならあらかじめ目指す工事予算範囲内にしっかり治まるようなデザイン設計を展開する方が手っ取り早いという考え方もあるのだが、飯島が監修する進め方はややそのやり方とは異なります。

 

まずは、開業オーナーさんが抱く夢の部分、多くのリクエストを、一旦予算度外視で設計に盛り込みます。

 

そして、競争をかけて、最も安い工事業者を選出するとはいえ、その一番安い工事業者の見積でさえ、オーナーさんの想定している予算を大きく超えることがほとんどです。

 

これ、結果的に無駄な労力になるのでは?

 

という意見もあるでしょうけれど、実は長年のプロデュース経験と実例から、この一見回り道に思えるプロセスを踏むことこそ、最終的にはオーナーさんの満足度を高める結果に繋がるのです。

 

まず、開業者さんというのは、ほとんどがこうした店舗デザイン設計の進め方なんて、初めてのことであり、どう進めるのが最も効果的なのかなんて知る由もありません。

 

多くの場合、開業者の頭の中に潜む大量の要望の1/3程度もアウトプットできないままに、設計図が描かれ、それに基づく見積書が作られることになります。

 

そして、少なからずその工事見積もりが安くできるように、いわゆる総額の金額を適当に減額させる、いわゆる値切り交渉をして、工事業者と契約し、そのまま工事がスタートしていくことになるわけです。

 

飯島自身の過去の経験からも、この一般的な進め方ともいえる、このやり方で進めて行くと、まず、トラブルが多発するものなのです。

 

そのトラブルとは、「追加工事」です。

追加工事が発生すれば、当然のことながら「追加の支払い」が必要になるわけです。

 

前述したように、開業者が思っている要望を100%アウトプットできる確実は非常に少なく、しかも、ほとんどの一般的事例においては、家賃がすでに発生していたりなど、開業者の心は、すでに冷静に店舗設計の打ち合わせに腰を据えて対峙する精神状態ではなくなっているものなんです。

 

お急ぎモードの焦り気味の状態で、矢継ぎ早にアウトプットした要望は、開業者の頭の中は、整理整頓された状況とは程遠く、せいぜい1/3ぐらいしかデザイナーに伝達できないものなのです。

 

開業総額の中で、最も大きな予算を占めるのが店舗工事費です。そんな店舗工事の要素の中で、リクエストし忘れていた要素が、後々工事中の段階でジワジワと出てきたらどんなことになるでしょう?

 

追加予算は簡単に100万円単位に達してしまうことが少なくないんです。

 

「あれ?この壁に店販品を陳列する棚をリクエストし忘れていた・・・」

「バックヤードの洗濯機の上に収納BOXをお願いすべきだった・・・」

「レセプションカウンターの引き出しに、仕切り板を細かく追加したい・・・」

「掃除用具箱の横に髪の毛を一時的に溜めておくスペースを設計変更したい・・・」

 

まぁまぁ、こんな感じの、いわゆる

“うっかり、見落としていた”

“頭の奥に隠れていた”

 

といった、仕事上、絶対に必要となる要素が、にょきにょき出てくるのです。

だからこそ、まずは一旦、これでもか、これでもかというぐらい要望100%

いや、120%の状態を設計図面に反映することが重要なのです。

 

しかし、どうしても予算を抑えたいという気持ちが、この要望120%のアウトプットを邪魔するのです。だから、開業者単身で行う場合、どうしてもこの感覚が常に鈍るもの。

 

打ち合わせ中、何度も飛び交うオーナーの言葉があります。

「この材料、どっちのほうが安いんですか?安い方で良いです」

 

こんな声が聞こえるたびに飯島が打ち合わせに割って入ります。

「オーナーさん、安い方の材料の方が好きなの?それとも安いからそれを選ぼうとしているの?もし安いからという基準で選んでいるのだとしたら、一旦は高い方を選んでおきましょう。いずれ予算がオーバーしたら、その時点で安い方に切り替えましょう」

 

こうして、その度に声をかけてあげないと、ついついオーナーさんは迷宮に陥るものなのです。

 

こうした微妙なやりとりは、実は建設材料だけではありません。店舗の内部は、本当に小宇宙といえるぐらい、それはそれは細かい物品の集合体です。素人である開業者オーナーさんが、完璧に要望を伝えきったぞと思えたとしても、プロである飯島や藤井の視点では、本当に半分もリクエストをキャッチしていないものです。

 

だからこそ、店舗デザイン設計を担う人物は、こうした素人である開業オーナーさんのリクエストをすべてもれなく引き出すことも重要なスキルなのです。

「ここ、どうするか決めてますか?・・・見落としていませんか?」

という投げかけがどれだけ重要かを、設計を担当する人たちは知ってほしいものです。

 

さて、要望モリモリの120%で作成された設計図で行われる競争入札です。

当然、一番安い業者の見積であっても、あらかじめ想定している予算をぶっちぎって高いはずなんです。

 

しかし、一番安い業者の、予算オーバー見積こそ、開業オーナーさんが「欲しい物すべてを手に入れるために必要な上限額」ということになるわけですね。

 

その見積書に書かれた額面は、要望すべてが反映された、超贅沢バージョンの金額なのです。

当然、内訳明細書は、大量のページ数で、全部細かく金額が表示されているものですね。

 

ここからが本番なんです。

 

“ひたすら削り出す作業”こそ、「減額調整」なのです。

 

例えば、開業予算として、店舗工事費に割り当てている額が800万円としましょう。

 

しかし、要望MAX超贅沢バージョンを競争見積りで一番安い額を提出した会社の見積が1000万円だったとしましょう。

 

ここから、減額調整で足りない200万円分を削り落とすのです。

 

このときこそ、先程のお話で触れたように、材料を安いものに切り替えましょう・・・とか、

壁全体に貼ろうと思っていたけど、柱周りだけにして物量を減らしましょう・・・とか

あるいは、雰囲気を損なわないもので、材料そのものを別のものに切り替えましょう・・・とか

 

とにかく細かく積算された見積の全項目とにらめっこしながら、1000万円の見積から800万円で買える分だけ、選んで買う。という検討をとことん行うのです。

 

これがまさしく「減額調整」であり、開業者にとって最も辛く苦しい打ち合わせとなるのです。

 

この打ち合わせの直後は本当に辛いはずなのですが、過去すべての実例からみてもわかるように、結果的に納得が行かなかったという声は皆無なのです。

 

むしろ、減額調整のお陰で、本当に身の程を知った。

確かに贅沢すぎだったかも・・・自分ひとりだけだったら絶対に予算オーバーしていたはず・・・

 

ここの減額調整という難関を通り過ぎ、実際に完成した店舗内に立った時、オーナーさんが異口同音に語ってくれる心境なのです。

 

さて、そんな辛い減額調整、12月26日に予定しています。

昨今、ウクライナ情勢などの影響による深刻な工事費の著しい高騰。

まず、間違いなく辛い減額調整になることを想像しています。

大幅な減額をすることになるであろうこの計画、不安定なコスパ事情をクリアできるかどうかは、店舗デザイン設計担当の藤井真哉の力量に委ねられるところ。

 

飯島は、ひたすら開業オーナーさんに、この減額調整に関し、今のうちから前振りの如く、とにかく覚悟しておくように、というメッセージを飛ばし続けています。

 

こればかりは、渦中に入らないと本当の辛さはわかりません。

なんとなく、やや楽天的に捉えている今回の開業オーナーさん、その分、理想と現実のギャップに思いっきり打ちのめされないことを祈りたいものです。

 

 

次回7回目も1週間後、12/19、朝10:00よりグラフィックのみ打合せ開始予定。


出店地、出店時期、オーナーさんの実名は、現職場を退職する段階まで伏せさせて頂きます。

いずれ、それらがすべて発表できるときまで、当実況コラムでこの開業者さんの進行状況を読みながら、今後のご自身の開業に役立ててみてください。

 

<2023/1/16追記>
埼玉県狭山市柏原美容室 warawaホームページ(準備中)
https://warawa-hair.com/

オーナー:福山裕太郎さん


今回の美容師さんと共に歩んできたプロセスはこちらで確認できます

↓ ↓ ↓

◯11/3・フルプロデュース前の融資コンサルの様子

https://bh-inc.co.jp/news/221103-bh-loan-consulting/

◯11/7・1回目の打ち合わせ

https://bh-inc.co.jp/news/221107-warawa-1/

◯11/14・2回目の打ち合わせ

https://bh-inc.co.jp/news/221114-warawa-2/

◯11/21・3回目の打ち合わせ

https://bh-inc.co.jp/news/221121-warawa-3/

◯11/28・4回目の打ち合わせ

https://bh-inc.co.jp/news/221128-warawa-4/

◯12/5・5回目の打ち合わせ

https://bh-inc.co.jp/news/221205-warawa-5/


その更に前、

事前プロデュースの行程(一覧)

https://bh-inc.co.jp/news/221031-bh-pre-produce-index/



オンライン動画講座集

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【bh飯島由敬・著書及び監修書籍】

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解説美容室開業

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はじめてのヘアサロンオープンBOOK


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